中期経営計画

TechnoAmenity for the future-Ⅰ

当社は、2022年度からスタートする中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」を策定しました。
このページでは、中期経営計画のポイントをご説明します。

Q&A

振り返りと現状分析

これまで日本触媒は独自の技術で高品質な化学製品を提供し続けてきました。そして顧客ニーズが複雑化し、市場変化のスピードが加速する中、既存事業の競争力強化とそれに代わる新規製品・新規事業創出に取り組んできました。その結果、既存事業の競争力強化には一定の成果が得られましたが、新規製品・新規事業創出は事業化の芽が出つつあるものの道半ばです。また、持続可能な社会の実現に向けて環境対応への取り組みが不可欠です。

マテリアルズ事業が市況の影響を大きく受けやすいこと、厳しい競争環境に置かれていることから、現状のマテリアルズ事業に頼った事業構造からの脱却が当社の課題です。そのためマテリアルズ事業から、個々の顧客課題について独自の機能を提供する高付加価値事業中心のソリューションズ事業へシフトすることが必要です。顧客課題に応じたソリューションを提供できる組織へと変革するための基盤を早期に構築します。

  • ※ FY2018から国際財務報告基準(IFRS)により連結財務諸表を作成しています。FY2017までは日本基準に基づいた売上高・営業利益を記載しております。
現在の課題
アクリル酸、高吸水性樹脂事業が競争激化し、収益力が低下
マテリアルズ事業に頼った事業構造により、売上収益・営業利益の伸びが鈍化

中期経営計画の位置づけと取り組み

今中期経営計画の位置づけ

今中期経営計画では、2030年長期ビジョンに向けた最初の3か年(2022-2024年度)の具体的行動計画を策定しました。
各分野における基盤作り、変革のための様々な取り組みをスタートする期間と位置付けています。

長期ビジョンTechnoAmenity for the futureで定めた2030年の目指す姿の実現

2024年度までの取り組みと到達点

事業面、環境面、組織面で変革を実行し、2024年度までの目標達成に向けた取り組みを推進していきます。

事業の変革

ソリューションズ事業拡大

  • ソリューション提案力強化と注目市場へのリソース集中
  • 戦略製品群拡販による収益力向上
  • ※戦略製品:当社の強みを活かし、成長が見込まれる市場で拡販を目指す既存製品

マテリアルズ事業強靭化

  • 収益力強化とサステナビリティ推進による付加価値向上
環境対応への変革
  • ライフサイクル全体の環境負荷低減に貢献
組織の変革
  • 個人と組織が成長できる仕組みを実現

事業の変革とは

顧客提案力を強化し、注目市場へリソースを投入することで「ソリューションズ事業」の拡大を目指します。また「マテリアルズ事業」では収益力を強化し、サステナビリティの推進によって付加価値を向上させ、より強靭な事業体質を構築します。

マテリアルズ事業
世界中で利用されている化学品を、国内外の拠点で高品質かつ大規模に生産し、グローバルに安定的に提供。
ソリューションズ事業
多様な産業の顧客ニーズに応えるため、研究・開発力を活かして高付加価値の独自の機能を提供。
  • ※ 2021年度の数値は、中期経営計画策定時点の推定値を使用しています。

ソリューションズ事業の拡大・具体的な取り組み

ソリューション提案力の強化に向けて、組織を横断する取り組みを活性化するプラットフォームの整備を進めます。

プラットフォーム整備

強みを活かせる市場の選択

  • 強みを活かせる注目市場設定
  • 柔軟かつ機動的なリソース配分

顧客課題の把握力強化

  • ターゲット顧客の選定
  • 顧客情報の可視化と共有化

ソリューション提案力強化

  • 企画・開発・マーケティング機能設置・強化
  • 市場毎にエキスパート育成

タイムリーな生産体制構築

  • 早期の生産技術部門関与により、
    事業化を見据えた開発活動の推進
  • 日本触媒グループ内設備の効果的活用
  • ソリューションズ対応設備増強
  • 外部委託先との積極的連携
DX活用
DX活用
ソリューションズ事業拡大

体制の強化

顧客への提案力強化に向けて、体制を早期に構築します。
企画・開発・マーケティング機能強化のために、ソリューションズ各事業部に企画部門を設置するとともに、リソースを集中的に投入します。

ソリューションズ事業

企画部門設置
集中的なリソース投入
企画部門設置

各事業の取り組み

各事業においては、下記の目標を設定し、ソリューションズ事業の強化に取り組んでいきます。

※横にスクロールしてご覧ください

  • インダストリアル&ハウスホールド
  • エナジー&エレクトロニクス
  • ライフサイエンス
  • 事業創出
  • ※戦略製品:当社の強みを活かして成長市場で拡販を目指す既存製品

経営目標

経営目標

ソリューションズ事業拡大により、2024年度に過去最高益を目指します。外部環境の変化の影響を受けにくいソリューションズ事業を、2024年度には売上割合35%、営業利益割合50%を目指します。

売上収益・営業利益
売上収益・営業利益

※横にスクロールしてご覧ください

2021年度
(推定)
2024年度
(目標)
2030年の
目指す姿
経営指標 営業利益 270億円 330億円 600億円規模
営業利益(市況高騰分除く) 190億円 - -
ソリューションズ
事業営業利益
85億円 170億円 400億円規模
ROE 6.6% 7.5% 9%以上
ROA 6.4% 6.9% 9%以上
総還元性向 33.4% 50% -
新規製品売上収益
(単体・SAP除く・5年以内上市)
100億円 280億円 -
投資額 成長投資および
競争力維持投資
- 1,200億円
(FY2022-2024累計)
4,000億円
(FY2022-2030累計)
  • ※ 2021年度の数値は、中期経営計画策定時点の推定値を使用しています。

資本政策

2022-24年度累計キャッシュアロケーション

成長投資、競争力維持投資、株主還元の最適なバランスをとることで、中期経営計画終了時にROE7.5%、ROA6.9%の達成を目指します。

キャッシュイン・キャッシュアウト
キャッシュイン・キャッシュアウト
成長投資 中長期の成長に向けた投資
  • ソリューションズ事業拡大
  • サステナビリティ関連投資
  • DX関連投資
コア事業の競争力維持・強化に向けた投資
  • マテリアルズ事業強靭化
  • 製造所基盤再構築
株主還元
十分な成長投資、競争力維持投資の財源を確保しつつ、資本効率性の追求を両立させる株主還元を実施
  • 総還元性向50%を目指す
    (配当性向40%,自己株式取得10%)

日本触媒ってどんな会社?

当社はBtoBの化学会社です。
石油精製会社などから原料を仕入れ、日用品や自動車、塗料などの材料として使われる製品を提供しています。紙おむつに使われる高吸水性樹脂や、その原料であるアクリル酸では世界トップレベルのシェアを誇ります。

1941年の創業以来、研究開発力と生産技術力を培い、人と社会から必要とされる化学素材を提供し、豊かで快適な社会の発展に貢献し続けています。

化学業界の課題と成長性は?

化学業界を取り巻く事業環境は大きく変化しています。化学製品のグローバル化が進み、求められる機能も多様化しています。単一機能を持つ素材を供給するだけでは、急激に変化する世界のニーズに応えられません。加えて、2050年までにカーボンニュートラルを実現するため、多くの企業や団体が取り組みを進めています。

こうした潮流は、様々な素材や技術を提供する当社にとって大きなチャンスでもあります。当社は製品や技術を通じた社会課題の解決によって、更なる成長を目指します。

マテリアルズ事業と
ソリューションズ事業とは?

2022年度より外部発表セグメントを「マテリアルズ事業」と「ソリューションズ事業」に変更しました。

マテリアルズ事業では、高品質素材を安定的に大量生産し、グローバルに提供しています。当社の主力製品であるアクリル酸や高吸水性樹脂はマテリアルズ事業に分類されます。
ソリューションズ事業では、当社がこれまで培ってきた研究・開発力を活かして、顧客が抱える課題を解決する独自機能を提供しています。顧客のニーズを深く理解して課題を捉え、解決策を提案することが新たな付加価値となります。

中期経営計画の目標到達点は?

現在のマテリアルズ事業中心のポートフォリオを変革し、高い利益率が期待できるソリューションズ事業を拡大します。中期経営計画最終年度の2024年度にはソリューションズ事業の営業利益割合を50%まで高め、営業利益330億円の過去最高益を目指します。

数値目標

2021年度
(推定)※1
2024年度
(目標)
営業利益 190億円※2 330億円
ROE 6.6% 7.5%
ROA 6.4% 6.9%
  • ※1 中期経営計画策定時点の推定値
  • ※2 営業利益は市況高騰分除く

2021年4月に策定した長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で「2030年の目指す姿」を掲げており、今回の中期経営計画は長期ビジョン達成に向けた最初の3か年計画と位置づけられます。「2030年の目指す姿」の実現に向けて基盤作りと変革実行に取り組みます。

中期経営計画達成の課題は?

ソリューションズ事業拡大に向けて、顧客の潜在的な課題を掘り起こし、解決方法を複合的に提案していくことが求められます。そのためにソリューションズ部門に企画部門を新設し、デジタルマーケティング部門やR&D部門と連携して、組織横断的に企画・開発・マーケティング活動を行います。そして成長分野の事業に集中的に経営資源を投入します。加えて、カーボンニュートラル実現に向け、R&D組織を変更し研究開発機能を強化します。

サステナビリティに関して
どんな取り組みを進めているの?

「2050年カーボンニュートラル実現」は当社にとって課題でもあり、新たなビジネスチャンスでもあります。
温室効果ガス削減に寄与する電池や水素利用を拡大するための素材・技術の開発、二酸化炭素の回収・再利用など、環境負荷低減に必要な技術を獲得するための研究・開発活動に力を入れています。また、従来の石油化学原料に代わるバイオマス由来原料や、再生可能エネルギーの利用により、サプライチェーン全体での二酸化炭素排出量削減にも取り組んでいます。

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