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2017年

バイオマスの新規資源化プロセスを神戸大学と共同開発

2017年6月28日ニュースリリース

 株式会社日本触媒(本社:大阪市中央区、社長:五嶋祐治朗、以下「日本触媒」)は、国立大学法人神戸大学(以下「神戸大学」)大学院工学研究科サスティナブルケミストリー寄附講座(喜多裕一特命教授)(注1)と共同で、再生可能資源であるバイオマス(*1)の新規資源化プロセスを開発しました。本プロセスは、250-300℃の高温水中、金属鉄存在下でリグノセルロース(*2)を高効率で炭素数2-6程度の水溶性化合物群に分解する方法で、従来法と比較してバイオマス全体の高い利用効率を実現できます。さらに、得られた水溶性化合物群は、ZSM-5などの固体酸触媒を用いて、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン系炭化水素やベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素に変換できることも確認されており、種々のグリーンケミカルズ(*3)の基礎原料として有望と考えられます(図1)。例えば、バイオマスから作ったプロピレンを既存のアクリル酸プラントに供給することができれば、再生可能資源由来のアクリル酸を製造することができるようになり、環境にやさしい高吸水性樹脂(紙おむつ等の原料)へとつながります。

 今後、この新規資源化プロセスの研究開発を推進すると共に、水溶性化合物群を利用した種々のグリーンケミカルズの製造も検討していく予定です。このプロセスは、化石資源に依存することなく、バイオマスのような再生可能な炭素資源を化学品原料に変換できることから、持続可能な化学産業を切り拓くための一助となることが期待されます。日本触媒は今後とも未来を拓く技術に挑戦してまいります。

本開発プロセスの概要
 昨今、化石資源の枯渇や温室効果ガスの排出という懸念から、燃料や化学品原料として、バイオマス利活用への関心が高まっています。利活用技術の一つとして水熱分解(Hydrothermal Liquefaction)が知られています。この方法は、高温水中でバイオマスを熱分解し、水溶性および油溶性分解物を得る方法です。しかしながら、従来の方法(金属鉄非存在下)では、水溶性分解物および油溶性分解物の収率は各々約15wt%と低いうえに、分解物中の酸素含有量も高いため、追加の脱酸素工程が必要でした。加えて約40wt%と大量に生成する炭化物(チャー)の処理が最大の課題でもありました。
 一方、金属鉄を共存させて反応する本開発プロセスでは、水溶性分解物を60wt%程度の高い収率で得ることができます。このときの水溶性分解物中の酸素含有量は、原料に比べて約2割減少しており、脱酸素により炭化水素化が進んでいることも認められました。さらに銅やパラジウムなど水素化能をもつ金属を添加することで、分解と水素化(脱酸素)をより効率的に進めることができ、一段と炭化水素化が進んだ水溶性分解物を得ることができることも分かってきています。また、従来から大きな問題であった副生チャーは金属鉄の再生に用いる還元剤として活用できるため、バイオマス全体の高い利用効率を実現できるというメリットもあります。

 これらの成果の一部については、米国化学会発行の ACS Sustainable Chemistry & Engineering 誌へ掲載(DOI: 10.1021/acssuschemeng.7b00381)、及び米国化学会年会(253rd ACS National Meeting & Exposition、2017年4月2-6日、米国 San Francisco)で発表しました。

注1) 神戸大学サスティナブルケミストリー寄附講座(喜多裕一特命教授)は、2012年7月にサスティナブルケミストリーによる産業創出をめざして設立されました。日本触媒は同年10月より神戸大学寄附講座と共同研究を開始し、化石資源を原料として製造されている化学品原料を再生可能資源に転換すること等の実用化研究を推進してまいりました。

【用語解説】
*1 バイオマス
生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、一般的には「再生可能な,生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」とされている.「バイオマス」は,燃焼,腐敗,発酵等により二酸化炭素を発生するが,再び光合成を介してバイオマスとして吸収・固定化されるため,大気中での炭素循環の収支はプラスマイナスゼロになるという「カーボンニュートラル」な特性を有している.
*2 リグノセルロース
セルロース,ヘミセルロース,リグニンが強固に結合した構造を持つバイオマスであり,木材や農業残渣にも多く含まれており,地球上で最も賦存量の豊富なバイオマスである.セルロースとヘミセルロースは多糖であり,加水分解により単糖に分解することができる.リグニンは複雑な種類のポリフェノール類が立体的に重合し高分子化したものである.
*3 グリーンケミカルズ
ここでは,バイオマスからつくられる化学製品のことをいう.

以上

【問い合わせ先】
株式会社日本触媒 経営企画室 IR・広報部
:03-3506-7605  〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-2-2

  • img1_0275図1.バイオマスの新規資源化プロセスのイメージ