日本触媒、PURMX社と薬物送達(DDS)材料「Fol-Dab8」に関する技術連携を開始 ~天然型マイクロRNAとの組み合わせによる「Fol-Dab8」の創薬への適用可能性を検証~
- 研究開発
株式会社日本触媒(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:野田 和宏)は、自社保有のDDS※1材料「Fol-Dab8(葉酸結合型カチオン性ペプチド)」の適応領域拡大に向け、株式会社PURMX Therapeutics(本社:広島市南区、代表取締役社長 CEO:田原 栄俊、以下「PURMX社」)との共同検証を開始しました。
PURMX社は、天然型マイクロRNA※2を有効成分とする核酸医薬品の開発を進めています。核酸医薬品は、そのままでは体内で分解されやすく細胞内に取り込まれにくいため、目的の細胞へ届けるDDSが重要です。本取り組みでは、PURMX社が保有する天然型マイクロRNAと「Fol-Dab8」を組み合わせることで、新たな核酸医薬品への適用可能性を検証します。
本検証の開始に合わせ、当社はPURMX社が実施する第三者割当増資を引き受け、PURMX社への出資を行いました。なお、本出資における出資金額および出資比率につきましては、非公表とさせていただきます。
本連携の背景と目的
日本触媒は、健康・医療事業において、中分子医薬品のCDMO(医薬品開発製造受託)事業を展開しており、「核酸」「ペプチド」「DDS」を重点領域と位置づけています。中分子医薬品分野、とりわけ核酸医薬品の開発においては、目的とする病変組織や細胞へ安全かつ効率的に薬剤を送達するDDS技術の開発が実用化に向けた極めて重要な鍵を握っています。PURMX社は、マイクロRNAを有効成分とするがん治療薬開発のパイオニアであり、広島大学発の独自技術に基づく創薬パイプラインを有しています。今般の取り組みにおいて、当社はPURMX社との技術連携を通じて当社DDS材料「Fol-Dab8」の可能性を見出すことを目指します。「Fol-Dab8」と天然型マイクロRNAの複合体を医薬品開発に適用することで、中分子医薬品分野における本材料の価値向上を目指してまいります。
「Fol-Dab8」の特徴
「Fol-Dab8」は葉酸結合型カチオン性ペプチドです。葉酸受容体を高発現する組織を標的とする技術として、東京理科大学の和田 猛教授および高知大学の谷内 恵介准教授らによって開発され、日本触媒が事業展開しています。
- 高い標的選択性と送達効率:既存治療法では有効な治療選択肢が限られている膵がん等の難治性がんをはじめ、葉酸受容体を高発現する組織を選択的に標的とし、薬効成分となる核酸を効率的に細胞内へ送達します。
- 天然型マイクロRNAへの応用展開:これまで進められてきた従来の核酸医薬品(siRNAなど)での送達研究に加え、本取り組みを通じて天然型マイクロRNAへの適用可能性を広げ「Fol-Dab8」を活用した新たな核酸医薬品の創出を目指します。
- CDMOとしての価値提供:当社は、CDMOとしての高度な合成・製造技術、分析技術に加え、先端的なDDSプラットフォーム技術を提供することで、国内外の製薬企業・創薬ベンチャー企業が進めるアンメットメディカルニーズ※3を満たす革新的な医薬品開発を支援してまいります。
今後の展望
日本触媒は今後も、重点領域である「核酸」「ペプチド」「DDS」のシナジーを最大限に発揮し、中分子医薬品CDMO事業における技術基盤と開発支援体制を一層拡充してまいります。本連携を通じて、難治性がんを対象とした新規治療選択肢の創出に向けた研究開発の進展に寄与するとともに、多様化するお客さまのニーズに柔軟に応える受託製造サービスを提供し、中分子医薬品原薬の安定供給を通じて、人々の健康と生命を支え、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
株式会社PURMX Therapeutics 概要
- 会社名:株式会社PURMX Therapeutics(パームエックス セラピューティックス)
- 所在地:広島市南区霞1丁目2-3 広島大学霞キャンパス内
- 代表者:代表取締役社長 CEO 田原 栄俊
- 事業内容:天然型マイクロRNAを有効成分とする核酸医薬の研究開発
用語説明
※1 DDS(Drug Delivery System)
薬を体内の目的の場所に、適切な量・タイミングで届けるための技術です。たとえばsiRNAやマイクロRNAなどの核酸は体内で分解されやすく、細胞内にも入りにくいため、医薬品として十分な効果を発揮するにはDDSにより標的細胞まで安全に運ぶ手法が不可欠とされています。
※2 マイクロRNA
生体内に存在する20〜25塩基からなる微小なRNAであり、他の遺伝子の発現を調節することで様々な生命現象を制御する分子です。これは、人の体内で合成される核酸で、判明しているだけでも約2,600種類のマイクロRNAが存在しています。
※3 アンメットメディカルニーズ
現在の医療技術や薬剤では十分に対応できていない疾患や治療ニーズのことです。