徹底解説|バイオサーファクタント(化粧品原料)とは? 化粧品用洗浄設計に活かす基礎知識と処方設計の要点

バイオサーファクタントとは、微生物の代謝機能によって生産される両親媒性物質(界面活性剤)です。工業規模での安定的な生産技術が確立され始めたことで、市場での実用化と今後の成長が期待されています。

本ページでは、化粧品原料としてのバイオサーファクタントに焦点を当て、基礎知識から化粧品用洗浄設計に活かすための考え方や処方設計の要点までを、処方開発者の視点で分かりやすく解説します。

バイオサーファクタントの基礎知識

微生物の代謝機能によって生産される界面活性剤であるバイオサーファクタントは、石油由来界面活性剤、天然由来界面活性剤に次ぐ、「第3の界面活性剤」として注目されています。バイオサーファクタントの一例としては、糖脂質型の一種であるソホロースリピッドなどがあります。

一般的に低刺激性で生分解がしやすいこと、再生可能資源から生産していることから環境負荷が小さいことが知られています。

また、界面活性剤の種類別成長率を比較すると、バイオ界面活性剤は合成系界面活性剤に比べて高い伸びを示しています。低刺激製品へのニーズの高まりや、持続可能性への関心の高まりを背景に、今後も成長が見込まれる分野であることが期待されます。

TPCマーケティングリサーチ株式会社による調査

バイオサーファクタントと環境負荷

界面活性剤は原料由来や製造方法の違いにより段階的に進化してきました。近年は、持続可能性の観点から、微生物由来のバイオサーファクタントが新たな選択肢として位置づけられています。

従来

進化

持続可能性
界面活性剤の
原料由来による分類
石油化学一部バイオベースバイオベースバイオサーファクタント
過程
合成

合成

合成

発酵
由来
石油


石油、バイオ

バイオ

バイオ
成分例アルコール
エトキシレート
コカミド
プロピルベタイン
コカミド
プロピルベタイン
ソホロースリピッド

ソホロースリピッド(ソホロ脂質)とは

バイオサーファクタントの1つであるソホロースリピッドは、ソホロース(グルコース2分子がβ1,2-結合した2糖)と長鎖ヒドロキシ脂肪酸がβ-グリコシド結合で連結した糖脂質で、大きく分けると「酸型」と「ラクトン型」の2種類の構造を持ちます。

「酸型」は、脂肪酸のカルボキシル基が遊離した構造、「ラクトン型」は、脂肪酸のカルボキシル基がソホロースの水酸基とエステル化して環状構造を形成した構造をしていて、それぞれ多くの同族体が存在するとされており、化学合成では作り出すことが難しい構造をしています。

酸型ソホロースリピッド

ラクトン型ソホロースリピッド

Holiferm社のソホロースリピッド

ナタネ由来の原料から微生物による製造でソホロースリピッドができます。自然由来指数は1.0です。

Holiferm社のソホロースリピッド商品詳細

Holiferm社のソホロースリピッドは、酸型のソホロ脂質の割合が高いHFと、ラクトン型のソホロ脂質の割合が高いLFの2つのラインアップがあり、併用することも可能です。

酸型は、HLBが約18と高く親水性が強いため、起泡性や可溶化性に優れています。ラクトン型はHLBが約11と酸型に比べて低く、親油性とのバランスに優れるため、洗浄力が高く、油となじみやすい特長があります。

製品名表示名称HLB酸型
ソホロ脂質
ラクトン型
ソホロ脂質
性状 (25℃)固形分(wt%)粘度 (mPa・s)保存
方法
HoliSurf HF BioSurfactant糖脂質、水約 18約 95 %約 5 %褐色液状55 – 65 %300 – 1500常温
HoliSurf LF
BioSurfactant
糖脂質、水約 11約 15 %約 85 %褐色液状55 – 65 %300 – 1500常温

Holiferm社のソホロースリピッドは、皮膚常在菌に影響を及ぼしません。また、ラクトン型の割合が高いHoliSurf LFは、アクネ菌の特異的な減少が確認されています。

HoliSurf HFの皮膚常在菌への影響試験結果
HoliSurf LFの皮膚常在菌への影響試験結果

想定用途

クレンジング・洗顔料
シャンプー・コンディショナー
ボディソープ
ボディミルク
ハンドクリーム

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日本触媒の化粧品原料