コハク酸 コハク酸
- 主な用途
生分解性樹脂、入浴剤、メッキ薬、写真薬、食品添加物(酸味料)
- 用途分類
基本情報
コハク酸は、2つのカルボキシ基を有するジカルボン酸の1種です。
コハク酸は自然界に広く分布しており、二枚貝、化石、ソウ類、地衣、菌類などに含まれています。1550年、ドイツの学者アグリコアがコハクを蒸留した際に初めて得られたものがコハク酸です。コハク酸は新陳代謝過程におけるクエン酸サイクル(コハク酸脱水酵素)及びコハク酸ーグリシンサイクルで生成し、エネルギーとなる等、人体にとって有効なものです。工業的には無水マレイン酸の水素化により製造されます。
日本触媒のコハク酸は1950年の上市以来、食品添加物用途以外に生分解性樹脂、入浴剤、メッキ薬、写真薬等幅広い分野で使用されています。
| 構造式 | ![]() |
|---|---|
| 化学式 | C4H6O4 |
| CAS No. | 110-15-6 |
| 分子量 | 118.09 |
| pH | 2.9(25℃) |
| 沸点 | 235℃ |
| 残留性・分解性 | 良分解性 |
納入規格
工業用
| 納入規格項目 | 単位 | 規格値 |
|---|---|---|
| 外 観 | ― | 白色結晶性粉末 |
| 純 度 | % | 99.0以上 |
| 融 点 | ℃ | 185以上 |
| 水 分 | % | 0.5以下 |
| 灰 分 | % | 0.1以下 |
食品添加物用
| 納入規格項目 | 単位 | 規格値 | |
|---|---|---|---|
| 性 状 | ― | 白色結晶性粉末無臭 | |
| 確認試験 | ― | 褐色の沈殿を生じる | |
| 含 量 | % | 99.0以上 | |
| 融 点 | ℃ | 185~190 | |
| 純度試験 | (1)鉛(Pbとして) | μg/g | 2以下 |
| (2)ヒ素(Asとして) | μg/g | 3以下 | |
| (3)易酸化物 | 分 | 液の赤色は3分以内に消えない | |
| 強熱残分 | % | 0.025以下 | |
検査方法は食品添加物公定書第9版に準拠。
荷姿:20kg紙袋、500kgコンテナバック
お取り扱いの際には必ず化学品安全データシート(SDS)をご参照ください。
機能・用途
1.食品添加物(調味料)
コハク酸にはうま味や酸味があり、食品の味の調整に使用されます。
2.錯化剤
コハク酸は、各種金属イオンを安定化させる錯化剤として、メッキ薬などに配合されます。分子内に2つのカルボキシ基を持ち、金属イオンと結合して錯イオンを形成することで、メッキ液中の金属イオンを安定化します。
3.pH調整剤
コハク酸の水溶液は酸性を示し、pH調整剤用途でも使用されています。
4.発泡助剤
コハク酸は炭酸塩と反応し炭酸ガスを発生させる発泡助剤として、入浴剤などに使用されています。
5.生分解性樹脂
コハク酸は生分解性ポリエステルの原料として使用されます。コハク酸を原料とするポリエステルは、直鎖構造と多数のエステル結合を持つため、微生物によって分解されやすい特性があります。
コハク酸の溶解度
コハク酸は室温環境でも、一定の溶解性を示し、温度依存的に溶解度が大きくなります。

