キレート剤

キレート剤とは?

金属イオンを安定化させることができる薬剤

水中には、カルシウムやマグネシウム、鉄などの金属イオンが含まれます。これら金属イオンは、析出して機器トラブルを引き起こしたり、界面活性剤と結合することで、洗浄剤の洗浄効果を低下させたりします。
キレート剤は、金属イオンと結合(錯体を形成)することで、金属イオンを安定化させることができる薬剤です。
キレートの語源はギリシャ語の「Chele(カニのはさみ)」です。薬剤が金属イオンと結合する様子が、カニが物を挟むのに似ていることから、「キレート剤」という名前がつけられました。
パルプ・製紙用漂白剤、家庭用・業務用・工業用洗浄剤、水処理剤、化粧品原料等に使用されるほか、金属イオンの水溶性を高める効果を利用して、水溶性肥料としても使用されています。

HIDS®の特徴

生分解性、安全性を兼ね備えた人と環境にやさしいキレート剤

EDTA(エチレンジアミン四酢酸)はキレート剤の代表例として知られ、高い効果を有しますが、生分解しません。そのため、自然界に放出されると、水生生物の必須微量元素である金属類と結びつき、生物がそれら金属イオン(ミネラル)を使用できなくなることから、環境面で問題視されています。
日本触媒のキレート剤(HIDS®)は、生分解性、安全性を兼ね備えた人と環境にやさしい環境調和型キレート剤です。キレート剤としての性能も良好で、販売開始以来、多くのお客様にご愛顧いただいています。

環境影響

生分解性 良分解(*1)
魚毒性 LC50≧2,000ppm以上(ヒメダカ96hr)(*1)

安全性

急性毒性 経口毒性 LD50>2,000mg/kg(*1)
局所効果 皮膚一次刺激性なし
(PII=0.4(45%)、PII=0(35%)、PII=0(10%)、PII=0(89% , powder))(*1)
眼一次刺激性なし(*1)
感作性 感作性なし(*1)
Ames試験 陰性(*1)
  • (*1)株式会社日本触媒より外部試験機関に依頼し測定した測定値

HIDS®の性能

■広いpH範囲にわたって種々の金属イオンと安定な水溶性錯体を形成します。特にアルカリ性溶液におけるFe3+キレート能に優れています。

酸解離定数 pKa1 : 2.83
pKa2 : 3.56
pKa3 : 5.15
pKa4 : 9.11
安定度定数 pKaCa2+ : 4.8
pKaFe3+ : 12.5
C.V.値 300mg CaCO3/g
試験液 キレート剤 0.01M
Fe3+ 0.01M
温度 室温
試験方法 試験液を室温で7日間放置したのち、沈殿物(Feの水和物)をフィルターろ過して除去し、ろ液中のFe3+濃度を測定
  • (*2)Fe3+安定度:仕込みFe3+に対して試験終了後に水溶液中に均一分散しているFe3+の割合

■高温かつpH4~13の範囲において安定です。

試験液 生分解性キレート剤(HIDS®)10%
温度 80℃
試験方法 試験液を80℃に保ち、一定時間ごとにサンプリングし、残存生分解性キレート剤(HIDS®)を液体クロマトグラフィーで定量

■アルカリ水溶液に対して溶解性が高いです。

温度 0℃
  • (*3)NTA:ニトリロ三酢酸

■スケールの主成分である、水不溶性カルシウム塩を溶解させることができます。タンクや配管などに生じたスケールの除去や、スケール生成の抑制に効果的です。

試験液 水不溶性カルシウム化合物 0.6%
キレート剤 0.2%
NaOH 3%
温度 80℃
試験方法 試験液を80℃で1時間攪拌したのち、溶解したCa2+を定量
  • (*4)カルシウム塩溶解能:仕込みカルシウム化合物に対する溶解したCa2+(Ca塩換算)

製品詳細

一般名称 3-ヒドロキシ-2,2'-イミノジコハク酸4ナトリウム
構造式
化学式 C8H7NO9・4Na
CAS No. 190195-65-4
分子量 353.1
外観及び
主な性状
  • 外観:淡黄色液体
  • 製品形態:50%水溶液
  • pH:10±1(25℃)
  • 比重:1.40~1.60(20℃)
  • 仕様に関して予告なく変更する場合がございます。

よくある質問

500gのサンプルをご用意していますので、お問い合わせください。

可能です。各国インベントリ登録など、詳細はお問い合わせください。

50%水溶液です。粉体品はございません。

ポリ容器(20㎏)、SUSドラム(250㎏/国内用)、ケミドラム(250㎏/輸出用)がございます。