アニオン系高分子凝集剤
アニオン系高分子凝集剤とは?
汚水を浄化するために使用されるイオン系の薬剤
河川水中の粘土質などの微粒子は、表面がマイナスに帯電したコロイド粒子です。互いに反発しあっているため、長時間放置しても沈殿せず、濁りの原因となっています。
そこで、コロイド粒子を電気的に中和し、凝集・沈殿させ、汚水を浄化するために凝集剤が使用されます。
凝集剤には様々な種類があります。
項目 | 区分 | 例 | ||
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無機系 | アルミ系 | 硫酸アルミニウム(硫酸バンド) ポリ塩化アルミニウム(PAC) |
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鉄系 | 塩化第二鉄 ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄) |
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有機系 | イオン系 | カチオン系 | 第4級アンモニウム塩 | |
アニオン系 | アルギン酸ナトリウム CMSナトリウム塩※ ポリアクリル酸系 |
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ポリアクリルアミド系 | ||||
非イオン系 | ノニオン系 | ポリアクリルアミド系 |
- カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩
無機系凝集剤(凝結剤とも呼ばれる)は、コロイド粒子の電荷を中和するために使用されます。無機系凝集剤により、コロイド粒子同士の反発が抑制され、凝集して一次フロックを形成します。
有機系凝集剤は分子量100万以上の高分子量ポリマーで、高分子凝集剤とも呼ばれます。一次フロック間を架橋して粗大化させたり、脱水性能を向上させるために使用します。
高分子凝集剤によって粗大化されたフロック(二次フロック)は沈降・脱水が容易で、効率的な固液分離が可能となります。
高分子凝集剤は大きく、イオン系と非イオン系(ノニオン系)に分類され、イオン系はさらにアニオン系(陰イオン系)とカチオン系(陽イオン系)に分類されます。
非イオン系およびアニオン系は主に、一次フロックの架橋・粗大化を目的に使用されます。代表例はポリアクリルアミドですが、日本触媒ではアニオン系に分類されるポリアクリル酸系の凝集剤(アクアリック®H)を製造販売しています。

ポリアクリル酸の特徴
ポリアクリル酸は、分子量によって非常に異なった機能を示すことから、幅広い分野で利用されています。

凝集剤として使用されるのは、分子量が100万を超えるもので、水中に懸濁している物質を凝集沈殿させる効果があることが知られています。
アニオン系高分子凝集剤(アクアリック®H)の性能
アクアリック®Hは、アクリル酸系の水溶性ポリマー(ポリカルボン酸系ポリマー)です。
1972年の開発以来、洗剤、紙、衣類、自動車、油田など、日用品から産業用途まで幅広い分野で長年にわたり活用されてきました。
食添グレードもありますので、排水処理のみならず、食品製造の不純物除去などにも使用することができます。
製品詳細
未中和のポリアクリル酸と、NaOHで中和したポリアクリル酸ナトリウムがあります。さらに、ポリアクリル酸ナトリウムに関しては、外観やグレードが異なる複数のタイプを販売しています。
ポリアクリル酸ナトリウム
品番 | グレード | 外観 | 分子量 (Mw) |
蒸発残分(%) (105℃,1.5hr) |
乾燥減量(%) (105℃,4hr) |
粘度(mPa・s) (0.2%aq.,30℃) |
pH (0.1%aq.,25℃) |
特徴 |
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IH | G | 顆粒 | 300~500万 | 95以上 | - | 540~760 | 9.0~10.0 | 工業用 |
FH | G | 顆粒 | 300~500万 | - | 10以下 | 540~760 | 9.0~10.0 | 食品 添加物 |
S | 粉末 | 300~500万 | - | 10以下 | 540~760 | 9.0~10.0 | 食品 添加物 |
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MH | - | 粉末 | 300~500万 | - | 10以下 | 540~760 | 9.0~10.0 | 飼料 添加物 |
ポリアクリル酸
品番 | グレード | 外観 | 分子量 (Mw) |
蒸発残分(%) (105℃,1.5hr) |
乾燥減量(%) (105℃,3hr) |
粘度(mPa・s) (10%aq.,25℃) |
pH (1%aq.,) |
特徴 |
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AS58 | - | 白色粉末 | 80万 | - | 5.0以下 | 500~700 | 2.5~4.0 | 工業用 |
よくある質問
基本、500g入り目で用意しております。在庫があれば、ご用命頂いて5営業日で手配させて頂きます。
IH-GとFH-G、MHとFH-Sは同じ製品(性状)で規格が異なります。FHシリーズは食添規格、IH-Gは工業用、MHは飼料用規格となります。
紙袋で1袋から販売可能です。
FH-G、FH-Sは15kg/袋、IH-G、MH、AS58は20kg/袋となります。
危険物に該当しないので問題ありません。海外への輸出実績もあります。
ママコ(ダマ)防止として、強攪拌下で少量づつ水に添加することを推奨しております。
特に粉末タイプは、顆粒タイプより細粒なので攪拌初期の溶解性が高く、攪拌後の粘度上昇が急になる傾向のため時間をかけて添加する事をお勧めいたします。
ポリアクリル酸ナトリウム:アルコール、その他溶剤へは、ほぼ不溶です。
ポリアクリル酸:エタノール、メタノール、エチレングリコールに可溶です。