ポリエチレンイミン(エポミン®) ポリエチレンイミン、Polyethyleneimine
- 主な用途
紙・布・OPP・PETフィルムのラミネートアンカー剤、重金属キレート剤、金属メッキ用添加剤、消火器用泡保持剤、固定化酵素、接着剤(塩ビゾル凝集剤、エポキシ樹脂架橋剤)、インク密着向上、水処理(凝結剤)
- 用途分類
- 機能分類
基本情報
エポミン®はエチレンイミンを重合した水溶性ポリマーです。完全な線状高分子でなく、1級、2級、3級アミンを含む分岐構造を有するポリマーで以下の特長があります。
- 現存する素材中、最もカチオン密度の高いポリマーです。
- 反応性に富んだポリマーです。
- 水溶性のポリマーです。
製法
製品詳細
エポミン®には、分子量の異なる8タイプ(開発品含む)が有ります。高分子量タイプのみ水希釈されています。
品番 | SP-003 | SP-006 | SP-012 | SP-018 | SP-200 | HM- 2000 | P-1000 | P-3000 (開発品) | |
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分子量 | 300 | 600 | 1,200 | 1,800 | 10,000 | 30,000 | 70,000 | 100,000 | |
製品 規格 | 樹脂分 (wt%) | 98以上 | 98以上 | 98以上 | 98以上 | 98以上 | 93~95 | 30±1 | 35±1 |
粘度 (mPa・s-25℃) | 200~ 500 | 500~ 2,500 | 3,500~ 7,500 | 8,500~ 15,000 | 4,000~ 150,000 | 5,000〜 15,000 (50%水溶液) | 400~ 900 | 1,300~ 2,600 | |
pH (5%水溶液) | 10~12 | ||||||||
外観 | 淡黄色透明液体 | 透明粘稠液体 |
特長・特性
高密着性・吸着性
アミノ基は水酸基と水素結合、カルボキシル基とイオン結合、アルデヒド基やケトン基とは共有結合します。また、極性基(アミノ基)と疎水基(エチレン基)を構造に有するため、異なる極性を持つ物質との結合力を高めます。これらの総合的な結合力を利用して接着・インク・塗料・粘着剤分野に利用されています。
高カチオン性
エポミン®は水中下でポリカチオンとして存在し、あらゆるアニオン性物質を中和・吸着します。また、重金属イオンをキレート化します。このような高カチオン性を利用して製紙分野、水処理分野、メッキ浴剤、分散剤等に利用されています。
高反応性
エポミン®は反応性の1級・2級アミノ基を有するためエポキシ、アルデヒド、イソシアネート化合物、酸性ガスと容易に反応します。このような反応性を利用してエポキシ樹脂の変性、アルデヒド吸着剤、染料固着剤に利用されています。
用途例
分野 | 用途 | 奨推品番 | 特徴 |
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製紙・ 紙加工分野 | 抄紙薬剤中性サイズ剤 | P-1000 | アニオン荷電物質を中和し定着効果、歩留向上、ピッチコントロール、白水浄化を発揮、ケテンダイマーの分散・定着化促進 |
接着・ 粘着分野 | 粘着剤 | SP-200 P-1000 | 粘着剤に配合し凝集力(接着保持力)を向上 |
PVCゾル接着剤 | SP-018 SP-200 | PVCに配合し基材への密着性を向上 | |
水溶性接着剤 | SP-200 P-1000 | EVA、酢ビ、PVA、アクリル系接着剤に配合し、密着性を向上 | |
押出ラミネー卜用 アンカーコート剤 | P-1000 | 紙、OPP、PETフィルム/PE押出ラミネートの接着促進 | |
ガスバリア用 アンカーコート剤 | P-1000 | PVA、EVOH/オレフィンフィルムの接着促進 | |
剥離剤 | RP-20 | 粘着テープの背面処理 | |
塗料・ インキ分野 | フィルム用アルコール系インク (ポリビニルブチラール系インク) | SP-200 | インクに配合しフィルムとの密着性向上 |
水系塗料インク (アクリル系エマルション) | SP-012 SP-018 | アクリル系エマルションに配合し速乾性、密着性、耐水性を発揮 | |
繊維分野 | 固着剤 | P-1000 | 洗濯堅牢性、染色性を向上 |
機能性繊維 | P-1000 | 繊維にタバコ臭等の消臭機能付与 | |
タイヤコード | P-1000 | 各種コード/ゴムの密着性向上 | |
ガラス繊維サイズ剤 | P-1000 | ガラス繊維に潤滑性を付与 | |
難燃剤 | P-1000 | リン系難燃剤を固定化し難燃性を向上 | |
水浄化分野 | 液体浄化剤 | P-1000 | アルデヒド水の無害化、漂白性塩素除去 |
凝結剤 | P-1000 | 表面荷電を中和し、容易に粒子間を凝集・分離、汚泥の脱水率向上、工マルション破壊 | |
菌体凝集分離剤 | P-1000 | 菌体表面荷電を中和し、菌体を凝集・分離 | |
キレート化剤 | P-1000 | 重金属イオンの除去 | |
気体浄化分野 | 空気浄化剤 | P-1000 | フィルタ一等に担持し気体中のCO2、NOx、SOx、CI2、アルデヒドを吸着 |
分散分野 | 分散剤 | SP-012 | セラミック・カーボンブラック・石炭・セメント・金属粉末・顔料等を分散安定化し、基材への密着性を付与 |
メッキ・金属 表面処理分野 | メッキ浴薬剤 無電解メッキ薬 | SP-006 | Znメッキ用として光沢性、平滑性を付与 |
酸洗用腐食抑制剤 一次防錆剤 | P-1000 | 金属に吸着し、酸による素地腐食を抑制 | |
バイオ分野 | 固定化酵素微生物固定担体 | P-1000 | 不活性基材に酵素を固定化しバイオプロセスに利用、不活性基材に菌体を国定し、水浄化に利用 |
石油 | 石油エマルション破壊剤 フルイドロス剤 | P-1000 | 表面荷電を中和し、粒子間を凝集・分離、坑井用セメントスラリー用フルイドロス剤 |
抗菌・ 防腐分野 | 抗菌・除菌性ポリマー | P-1000 | Ag、Cuをキレート化した錯体は抗菌効果発揮 |
木材保存剤、 切花保存剤 | SP-018 | Cuをキレート化した錯体は木材に対し浸透性、金属保持性を発揮 | |
その他 | 泡消火剤 | P-1000 | 泡保持性向上により油火災に有効 |
マイクロカプセル化剤 | P-1000 | 高反応性を利用してマイクロカプセル皮膜を形成 | |
電子・導電材料 | SPシリーズ P-1000 | 固体電解質、半導体の研磨材、レジスト・パターン化剤、レジスト洗浄 |
カタログ
注意事項
食品分野での注意
◆(参考)ポリエチレンイミンのFDA収載状況
CAS No.9002-98-6を有するポリエチレンイミンは下記1)、2)、3)のパートに収載されています。
またCAS No.68130-97-2を有するポリエチレンイミンは下記の4)のパートに収載されています。
1)接着分野
Part 175(間接食品添加物:接着剤及び塗料成分)
- 175.105:接着剤(食品包装用のラミネーション、シーリング)
- 175.320:ポリオレフィンフィルムに対する樹脂コーティング及びポリマーコーティング
2)板紙分野
Part 176(間接食品添加物:紙及び板紙の成分)
- 176.170:水性及び脂肪性食品と接触する紙及び板紙の成分(使用量は5wt%以下)
- 176.180:乾燥食品と接触する紙及び板紙の成分(使用量は5wt%以下)
3)食品包装分野
Part 177(間接食品添加物:ポリマー)
- 177.1200:食品包装セロハン(ポリエチレンイミンはセロハンの1成分として認められている)
- 1777.1400:非水溶性ヒドロキシエチルセルロースフィルム(ポリエチレンイミンはヒドロキシエチルセルロースフィルムの1成分として認められている)
4)酵素分野
Part 173(ヒト摂取の食品に許可されている2次直接食品添加物
- 173.357:酵素製剤の固定化に用いる固定化剤
取扱い上の注意
1)貯蔵安定性
(SPシリーズ、HM-2000)
- 冷暗所に保管した場合、約1年間は安定ですが、空気(酸素)と接触すると着色、表面の膜張り等品質が悪化することがあります。
- 吸湿性が強く、また空気中の炭酸ガスを吸収しますので、注意してください。
(P-1000, P-3000)
- 冷暗所に保管した場合、約1年間は安定ですが、空気(酸素)と接触すると着色等品質が悪化することがあります。
- 空気中の炭酸ガスを吸収しますので、注意してください。
2)容器の加熱
- 弊社より出荷致しますエポミンの石油缶及びドラム缶は合成樹脂のコーティングをしていますので、高温(80℃以上)で長時間加熱しますとコーティング皮膜が剥離し製品が着色することがあります。もし製品容器を加熱する場合には、80℃以下の温水を使用してください。
- 尚、大気開放下では、より一層に着色を促進します。
3)適用材質
■適する材質
- ステンレス鋼
- 合成樹脂(塩ビ、ポリエチレン、ポリプロピレン等)
■適ない材質
- 軟鋼等の鉄材…錆のため着色します。特に水溶液下では鉄錆が、エポミンを硬化させる性質を有します。
- 銅及び黄銅等の銅を含む合金…エポミンと反応して、青緑色の錯塩を生成します。
4)保管
- 直射日光、雨を避けてください。
- 不浸透性の床面の場所で保管してください。
- 使用後は再び密閉下で保管してください。
- できるだけ冷暗所で保管してください。