個人投資家の皆様へ初めての人もよくわかる日本触媒
個人投資家の皆様へ初めての人もよくわかる日本触媒

日本触媒の事業内容や強み、社会にどのような価値を提供しているかを、
個人投資家の皆様に向けてわかりやすくご紹介します。

Chapter 1

事業概要

Business Summary

紙おむつ原料で
世界ナンバーワン

日本触媒は、様々な化学素材を供給する化学メーカーです。
「日本触媒」という社名は皆様が手に取る商品には書いてありません。しかし私たちの技術は日々の生活に欠かせない多くの製品に使用され、その製品の性能向上に貢献しています。例えば、紙おむつなどに使用される高吸水性樹脂やリチウムイオン電池に使用されるイオネル®はその代表です。

高吸水性樹脂

世界トップシェア

紙おむつ普及のきっかけに

高吸水性樹脂は、1gの樹脂で1000mlもの水を吸い取ることができる小さな粉状の化学素材です。布おむつが主流だった1980年代、当社はこの高吸水性樹脂の大規模生産を開始、紙おむつの普及を後押ししました。世界の人口増、経済発展により、赤ちゃん向け紙おむつは需要が増加しており、また高齢者向けの紙おむつのニーズも高まっています。子育てや介護に欠かせない存在として、人々の生活の質向上に貢献しています。

イオネル®

リチウムイオン電池の高性能化で
自動車のEV化に貢献

イオネル®とは、リチウムイオン電池の電解質として使われる素材です。リチウムイオン電池は高温下では劣化しやすく、低温下では性能を発揮しにくいという課題がありますが、イオネル®は広い温度範囲で品質を安定させ、電池の長寿命化を実現することができます。近年、急速に普及が進む電気自動車に使用されているリチウムイオン電池の課題を解決する素材として注目されています。

独自の技術と沿革
1941
日本初
創業・無水フタル酸の工業化に成功
自社開発の触媒を利用した技術により、日本初の無水フタル酸の工業化に成功し、塩化ビニル工業の発展に貢献しました。 当時、航空機塗料や合成樹脂の原料として需要を伸ばしました。
1959
日本初
酸化エチレンの工業化に成功
当時、多くの石油化学企業が海外技術に依存する中、当社は純国産技術による酸化エチレンの工業化に成功。国内の石油化学工業の発展のきっかけとなりました。酸化エチレンは、ポリエステルやペットボトルの原料に使用されています。
1970
世界初
アクリル酸の新製法を開発
低コスト・大規模でアクリル酸を製造する新製法を開発しました。この製法は、多くの世界のアクリル酸メーカーで採用されています。アクリル酸は塗料や粘着剤の原料に使われるとともに、様々なアクリル酸誘導品を生み出しました。
1985
高吸水性樹脂の大量生産に成功
主に紙おむつなどに使用される高吸水性樹脂の大規模生産に成功しました。技術、生産ともに世界をリードし、現在でも世界トップの生産能力を誇ります。

※2022年4月時点当社調べ

2006
世界初
アクリビュア®の商業生産を実現
フラットパネルディスプレイに使用されるアクリル樹脂・アクリビュア®の事業化により、 液晶ディスプレイの大型化・薄型化に寄与しました。
2013
世界初
イオネル®の量産化技術を確立
イオネル®とは、リチウムイオン電池の電解質に使用される素材です。世界初の量産化技術を確立し、多数の特許権を取得しました。電気自動車にも採用され、今後更なる需要の増加が見込まれます。
現在
今後も更なる発展を目指します

事業分野

事業領域は多岐にわたります。
当社の長年培ってきた技術は、皆様の身の回りの様々な場面で活かされています。

生活消費財・建材分野
紙おむつなどに使用される高吸水性樹脂や、家庭用・工業用洗剤に使用される洗浄成分、建築外装用塗料、強固なコンクリートを作るための混和剤用ポリマーなどを供給しています。
情報ネットワーク分野
半導体やイメージング領域の品質向上に貢献しています。液晶パネルに使用される光学フィルム用樹脂や3Dプリンター用素材などを提供しています。
エネルギー・資源分野
リチウムイオン電池や燃料電池の材料を供給し、エネルギーの有効利用に貢献しています。
ライフサイエンス分野
中分子原薬の受託製造をはじめとする医療・創薬支援事業を展開しています。また、化粧品原料や食品添加剤などを提供し、健康や生活の質向上に貢献しています。
環境分野
環境浄化に貢献する製品を供給しています。これらは自動車排ガス処理や排水処理、ダイオキシンの除去などに活用されています。
日本触媒は、顧客であるものづくり企業に
素材を提供するBtoBの化学メーカーです。
私たちの化学素材は、皆様の身の回りの製品の
品質と性能の向上に寄与しています。
長年培ってきた技術力を通じて、
皆様に豊かさ・快適さを提供しています。
企業理念

私たちはテクノロジーをもって
人と社会に豊かさと快適さを提供します

「豊かさ・快適さ」とは、物質的な側面だけではなく、 地球環境との調和や、社会的・精神的豊かさ・快適さも内包されています。 今後も企業理念「TechnoAmenity」を実践することで、 持続可能な社会の実現に貢献し続けます。

Point

当社は、ものづくり企業に対して、あらゆる機能を付与する化学品・素材を提供し、より高機能な製品づくりに貢献しています。
創業当時から世界初や日本初の技術や製品を送り出し、高品質な製品を生産、供給することで信頼を得てきました。
当社が提供する化学製品は、身の回りの生活消費財や建築、自動車や精密機械など様々な分野で使われており、皆様の便利で豊かな生活に欠かせない存在です。

Chapter 2

日本触媒の強み

Strength

高品質素材の開発と
安定供給を実現する力

当社にはマテリアルズ事業とソリューションズ事業があります。
マテリアルズ事業では、高品質素材を安定的に大量生産し、グローバルに提供しています。ソリューションズ事業では、当社がこれまで培ってきた研究・開発力を活かして、顧客が抱える課題を解決する独自機能を提供しています。
それぞれの事業でこれまで培ってきた強みを発揮しています。

マテリアルズ事業

高品質素材を大規模に安定生産

マテリアルズ事業では、アクリル酸や高吸水性樹脂、酸化エチレンなど高品質な化学素材を様々な業種の顧客に供給しています。高品質素材を作り出す技術力はもちろん、国内外の拠点で世界中に安定供給できる組織力を発揮しています。
高品質を担保する生産体制を築き、自社設備で原料から一貫生産することで、変化する需要にタイムリーに対応することを可能としています。

ソリューションズ事業

多様な顧客ニーズに対応し、独自の機能を提供

ソリューションズ事業は、独自機能を提供して顧客課題を解決する事業です。顧客の置かれている状況を把握して課題を見つけ、当社の強みである幅広い技術を組み合わせて提案することで、高い付加価値を生み出しています。

Point

日本触媒は、高品質な素材を供給する「マテリアルズ事業」と顧客課題を解決する機能を提案する「ソリューションズ事業」を営んでいます。
マテリアルズ事業では、技術力を発揮して高品質製品を作り出し、安定供給を実現する組織力によりグローバルに製品を提供しています。ソリューションズ事業では、顧客の課題に沿って独自の機能を提供するという強みを発揮しています。

Chapter 3

将来性

Future

化学の力で
サステナビリティに貢献

当社を取り巻く環境と長期ビジョン

近年、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。化学製品のグローバル化が進み、多様化する顧客のニーズへの柔軟な対応が不可欠です。
こうした外部環境の中でも、将来にわたって持続的に成長していくために長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」を策定しました。3つの変革を推進し、2030年に向けた目指す姿の実現を目指します。

長期ビジョン

「TechnoAmenity for the future」
2030年の目指す姿

  • 人と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供
  • 社会の変化を見極め、進化し続ける化学会社
  • 社内外の様々なステークホルダーとともに成長

3つの変革

事業の変革
ソリューションズ事業の拡大
  • 市場/分野毎の開発活動
  • ニーズ・顧客課題把握、ソリューション提案強化
  • タイムリーに対応できる生産・供給体制
マテリアルズ事業強靭化
  • 徹底的なコスト削減/生産性向上/DX推進
  • 他社とのアライアンス/事業再編
  • 脱炭素・リサイクル推進
環境対応への変革
サステナビリティへの取り組み
  • 2050年カーボンニュートラル実現に貢献すべく全社的取り組み推進
組織の変革
経営基盤強化
  • 成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革
  • 成長を支える経営基盤の更なる強化

課題解決型企業へシフト

事業変革の一環で、ソリューションズ事業の拡大に取り組みます。
顧客や市場の状況・課題を的確に把握し、提案力を強化することで、更に多くの顧客に必要とされる課題解決型企業を目指します。

今後更に多様化する顧客ニーズに応えることができるよう、
提案力強化のための施策を推進していきます。

自社技術を活かし、
環境課題解決へ

2050年カーボンニュートラル実現のため、当社生産プロセスにおいてCO2排出量を削減するとともに、技術力を活かした環境対応型製品の開発・販売を強化しています。
化学メーカーならではの技術力を最大限に活かして、環境課題の解決に貢献していきます。

課題解決の
シーズ
01

効率的な造水を実現

水不足が深刻な地域では、海水を淡水に処理して農業用水や飲料水などに利用しています。
現在広く使用されている海水淡水化の方法は、大量の電力を消費するという課題があります。その課題を解決する新しい方法での海水淡水化に、日本触媒の浸透圧発生剤が使われます。これにより、省エネルギー・低コストで造水能力を向上させることができます。
当社製品を通じて、効率的で持続可能な造水システムの実現に貢献していきます。
課題解決の
シーズ
02

水素エネルギーの活用を助ける

持続可能な社会の実現に向けて水素エネルギーの活用が進んでいますが、水素は運搬が困難という課題があります。水素を効率的に運搬・貯蔵するための「水素キャリア」として注目されているアンモニアは、わずかなエネルギーで液体化することができ、分解すれば水素を取り出すことができます。当社は、分解の過程で不可欠なアンモニア分解触媒の実用化を目指しています。事業化によって、水素社会の実現に貢献していきます。
Point

顧客課題に応じて独自の機能を提供するソリューションズ事業を拡大することによって、課題解決型企業を目指します。
これまで培ってきた技術力や開発力に更に磨きをかけるとともに、顧客に対する提案力やマーケティング力、課題解決力を強化していきます。
外部環境が大きく変化する中においても、強靭な体質の組織へと進化し、2030年の目指す姿の実現に向けて努めていきます。

Message

社長メッセージ

本コンテンツを最後までご覧いただきありがとうございます。当社はB t o B 企業のため、皆様にとってわかりにくい部分もあるかもしれませんが、当社の技術や製品が身の回りの多くの物に必要不可欠な存在であることを感じていただけましたら幸いです。
世界の激しい変化に柔軟に対応するとともに、よりスピード感を持って変革を進め、企業理念「TechnoAmenity 〜私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。
今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 野田和宏

代表取締役社長 野田和宏

本コンテンツを最後までご覧いただきありがとうございます。当社はB t o B 企業のため、皆様にとってわかりにくい部分もあるかもしれませんが、当社の技術や製品が身の回りの多くの物に必要不可欠な存在であることを感じていただけましたら幸いです。
世界の激しい変化に柔軟に対応するとともに、よりスピード感を持って変革を進め、企業理念「TechnoAmenity 〜私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。
今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

COLUMN 01

各国の生産拠点と生産能力

高吸水性樹脂とその原料であるアクリル酸において、世界トップレベルの品質・生産量を維持しています。世界各地の需要に対応するため、安定的な設備の稼働を実現しています。

COLUMN 02

サステナビリティへの取り組み

高吸水性樹脂の製造過程では、環境負荷の低減に貢献する取り組みを進めています。欧州の子会社では、環境に配慮した原料を使用した製造方法で国際認証基準の一つを取得しました。現在、実用化に向けて準備を進めています。

主力製品
高吸水性樹脂

紙おむつなどに
使用されています

主原料
アクリル酸
バイオマス由来の
プロピレンから製造

※現在は石油由来

苛性ソーダ
再生可能エネルギーを
使用した
苛性ソーダを調達
国際持続可能性カーボン認証 ISCC PLUSを取得
環境負荷を軽減