ポリビニルピロリドン ポリビニルピロリドン
- 主な用途
電池、透析・水処理用膜、接着剤、セラミック、インク・印刷・繊維、テキスタイル、パーソナルケア、半導体
- 用途分類
- 機能分類
基本情報
| 構造式 | ![]() |
|---|---|
| CAS No. | 9003-39-8 |
| 化審法番号 | (6)-1048 |
| 安衛法番号 | 化審法番号準用 |
特長・特性
ポリビニルピロリドン(PVP)は以下の特徴を有する非イオン性の水溶性ポリマーで、様々な用途・分野への適用が可能です。
- 種々の溶剤への溶解性(例:水、アルコール、アミド系、塩素系)
- 種々の樹脂との相溶性
- 耐熱性(Tg=160-170℃)
- 高い吸湿性
- 成膜性
- 接着性
- 錯形成能
製品グレード(代表性状値)
| 品番 | K-30 | K-85 | K-90 |
|---|---|---|---|
| 外観 | 白色粉体 | 白色粉体 | 白色粉体 |
| K値※1 | 27.0~33.0 | 83.0~87.0 | 88.0~96.0 |
| 固形分,wt% | ≧95.0 | ≧95.0 | ≧95.0 |
| 水分,wt% | <5.0 | <5.0 | <5.0 |
| 残存モノマー (NVP),ppm | <100 | <100 | <100 |
| pH※2 | 3.0~7.0 | 5.0~9.0 | 5.0~9.0 |
※1:K値は分子量と相関する粘性特性値で、毛細管粘度計により測定される相対粘度値(25℃)を下記のFikentscherの式に適用して計算されます。
K=(1.5 logηrel -1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel+(c+1.5clogηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ηrel:ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度
c:ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)
※2:10%水溶液の値
用途例
| 用途分野 | PVPの機能 | |
|---|---|---|
| 電池 | 分散剤 | 炭素材料、金属酸化物の分散性 水、NMPに溶解しスラリー化できる |
| 透析/水処理用膜 | 相溶化剤 親水化剤 空孔形成剤 | アミド系溶媒に溶解しポリスルホン等に均一に分散する 高親水性、膜の水洗で空孔形成、疎水膜表面を親水化 |
| 接着剤 | 感圧接着剤 再湿潤接着剤 食品包装(非接触) | プラスチック、ガラス、金属等、幅広い基材との接着性 高親水性、高吸水性 高安全性 |
| セラミック | バインダー 分散剤 | 金属酸化物の分散性に優れる 幅広い材料との結着性 |
| インク、印刷、繊維、テキスタイル | 分散剤 サイジング剤 | 顔料分散性、結着性 易水溶性 |
| パーソナルケア | セット剤 増粘剤 湿潤剤 | 高密着性、易水溶性 泡安定性 親水性 |
| 半導体 | レジスト 研磨液 洗浄液 | 易水溶性、無機物分散性 |
機能詳細
優れた経時安定性
高純度のNVP(N-ビニル-2-ピロリドン)モノマーを重合しているため、着色や不溶物が少なく、経時安定性に優れます。
VPのガスクロマトグラフチャート

NVP以外のピークが確認されない
NVPの外観 左:日本触媒品、右:他社品

空気存在下でのK値の低下が少なく、高い経時安定性を示します。

優れた吸湿性
他の水溶性非イオン性ポリマーと比べて、高い吸湿性を示します。

優れた粘度安定性
塩濃度やpHの変化に対し、粘度が安定した水溶液が得られます。


優れた密着性
様々な基材との密着性に優れます。
| 基材 | 判定 |
|---|---|
| PETフィルム | ○(剥離無) |
| ナイロンフィルム | ○ |
| 軟質塩ビフィルム | ○ |
| PPフィルム(コロナ処理) | ○ |
| PPフィルム(非処理) | ×(剥離) |
| エポキシ樹脂 | ○ |
| ウレタン樹脂 | ○ |
| Fe | ○ |
| Al | △(一部剥離) |
| ガラス | ○ |
優れた耐熱性
他の水溶性非イオン性ポリマーと比べて、高い耐熱性を示します。
熱による分解挙動(装置:THERMOFLEX TG8110/理学電機)

優れた親水性
樹脂に混練すると樹脂表面を親水化することができます。
PETの例
| 添加なし | PVP 5%添加 | |
|---|---|---|
| 接触角 | 81° | 67° |
| 表面の水滴の様子 | ![]() | ![]() |
| CB汚染前後のΔL値 | -32 | -9 |
優れた分散性
CB,CNTを良好に分散させることができます。
◆CBの例
分散剤無し|PVP K-30添加

CBを水に分散させ1週間静置後の状態
◆CNTの例
分散剤無し|PVP K-30添加

CNTを水に分散させ1日静置後の状態
電池スラリー中でもカーボン材料を良好に分散させることができます。


| 良溶媒 | 貧溶媒 |
|---|---|
| 水 | ベンゼン |
| メタノール | トルエン |
| エタノール | キシレン |
| イソプロパノール | ヘキサン |
| ブタノール | シクロヘキサン |
| シクロヘキサノール | 鉱油 |
| エチレングリコール | ジエチルエーテル |
| プロピレングリコール | テトラヒドロフラン |
| プロピレングリコールモノメチルエーテル | ジオキサン |
| 1,4-ブタンジオール | アセトン |
| グリセリン | メチルエチルケトン |
| ジエチレングリコール | シクロヘキサノン |
| グリコールエーテル | 酢酸エチル |
| γ-ブチロラクトン | 四塩化炭素 |
| クロロホルム | |
| 2-ピロリドン | |
| N-メチルピロリドン | |
| N-ビニルピロリドン | |
| 酢酸 | |
| 酪酸 | |
| ピリジン | |
| トリエタノールアミン | |
| N,N-ジメチルアセトアミド |
不溶物なし=良溶媒、不溶物あり=貧溶媒
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よくあるご質問
- 金属含有量は?
- 参考値として以下データがあります。
K-85:≦10ppm(Pb換算、酸性硫化Na試液により呈色分)
K-30:≦5ppm(ICP-MS) - 粒度は?
- 平均粒子径は以下のとおりです。
K-90, K-85:約300um
K-30:約100um - 保管方法は?
- 空気中の水分で吸湿しますので、外気に触れない容器を推奨します。(例:アルミ内袋、口をヒートシール)
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