テレビ朝日系列「報道ステーション」(平成24年10月2日)の「工場爆発で作業員語る『通報できなかった理由』」と題する報道、および類似内容の報道への抗議
- お知らせ
宛先
株式会社テレビ朝日
朝日放送株式会社
株式会社日本触媒
代表取締役社長
池田全徳
昨年9月29日当社姫路製造所で発生した爆発・火災事故に関し、同10月2日21時54分から放送された「報道ステーション」において、「工場爆発で作業員語る『通報できなかった理由』」と題する報道がなされました。また、同日放送の「キャスト」「ANNスーパーJチャンネル」、同3日放送の「おはようコールABC」「おはよう朝日です」「モーニングバード!」、同4日放送の「おはようコールABC」及び同5日放送の「キャスト」においても、同様の内容の報道がなされています。
本件報道にあたり、貴社から当社の防災教育について取材を頂きましたが、事故発生直後における事故状況の把握や関係ご当局による調査への協力、直接事故原因の究明などの対応に尽力している状況にあったことから、遺憾ながら当社としてお応えできておりませんでした。
一方でこれらの報道内容は、下記に示すとおり明らかに事実と異なる部分が認められる誤報で、結果として事実が歪曲され、多くの番組で繰り返し報道されたことにより不特定多数の人に虚偽の事実が流布され、視聴者に誤った情報を伝播させ、当社の信用を著しく毀損させたことは遺憾であり、しかるべき訂正を求めます。
本件報道から3カ月余りが経過し、この度このような訂正依頼を行うことは、時宜を得ないことと承知しております。しかし本日、事故調査委員会により直接原因究明の結果とその対策が出されたことを踏まえ、下記の訂正依頼を行うものです。
記
「報道ステーション」では、「消防への通報が遅れていた。」「その理由は何か」とした上で、「会社の上の方から、直接、消防の方には連絡するなという指示が出ていたということがわかりました。」として、事故当時現場に居合わせたと称する作業員の証言を次のとおり引用しています。
1.(作業員)「工事に入る前に安全教育というのを2~3時間受けるんですね。で、そのなかで、何か異常を見つけても、勝手に、その、消防署には連絡しないでほしいということと、まず担当者に連絡して所内の固定電話からかけるようにということを言われておりました。」
2.(ナレーション)「男性によると、消防への通報は社員を通すよう、防災教育を受けていたという。下請業者が個人の判断で通報すると内部基準に照らされて罰則を受ける可能性があり、萎縮して通報できなかったと話す。」
(作業員)「Aランクは出入り禁止、Bランクは作業中止で再度安全教育、Cランクは顛末書の提出ということで、おそらく火を出すとAランクに該当してしまうので、私はひょっとしたらもみ消そうとしたのかな、という印象はあります。」
先ず上記1の、消防への通報は当社社員を通すよう事業者にお願いし、所内の固定電話から通報する対応としている目的(以下、「本件対応の目的」といいます。)について、上記2では、「下請業者が個人の判断で通報すると内部基準に照らされて罰則を受ける可能性があり、萎縮して通報できなかった」「おそらく火を出すとAランク(出入り禁止)に該当してしまうので、私はひょっとしたらもみ消そうとしたのかな、という印象」と放送されています。
しかしながら、本件対応の目的は、携帯電話の電波による製造所計器類の誤作動防止及び製造装置の爆発防止のためです。そのため、当社社員を含め、事業者の個人の携帯電話の現場持ち込みは禁止されています。従って本件対応の目的は、専ら安全上の理由によるものです。
次に、上記2では、個人の判断で通報すると内部基準に照らされて罰則を受ける、との件がありますが、そのような事実は無く、「Aランクは出入り禁止」のような罰則は存在しません。
なお、作業員の証言にあるA・B・Cランクの件は、災害防止協議会の「工事安全評価基準」のことを指しているものと推察されます。当該基準は、労働災害防止の観点から、工事作業上の遵守事項を遵守しなかった場合に予想される災害の程度を表し、A・B・Cランクで次の運用を行っているものです。
・Aランク(重大災害)
該当事項が発生した際、作業を中止し、当該事業者全員を対象に再教育を実施。
発生状況と対策、再教育記録を当社に提出頂いた後、作業を再開。
なお、Aランクの指摘がなされた場合、事業者は1カ月間のパトロールを実施する旨の取り決めが、当社協力事業者で構成する「工事協力会」でなされています。
・Bランク(休業災害)・Cランク(不休災害)
該当事項が発生した際、再教育を実施し、報告書を工事協力会へ提出。作業の中止は無い。
よって当該基準は、事業者を対象にした罰則とは全く異なり、専ら事業者の労働災害の未然防止を目的としたものです。
以上から、本件対応の目的は、報道されたような「隠匿を目的」として「罰則を背景に事業者を委縮させる」ものではなく、これらの報道内容は事実と異なります。よって、ここに報道内容の訂正を求めます。
【関連ファイル】