3次元細胞培養容器「ミコセル®」再生医療にて初採用

  • 研究開発

株式会社日本触媒(本社:大阪市中央区、社長:野田 和宏、以下「日本触媒」)の「ミコセル®」を使用した再生医療の治療が、医療法人再生会そばじまクリニック(所在地:大阪府東大阪市、院長:傍島 聰、以下「そばじまクリニック」)で始まりました。

ミコセル®は、日本触媒が独自技術により開発した3次元細胞培養容器です。一般的な3次元浮遊培養容器や2次元培養容器とは異なり、培養面は細胞が弱く接着する素材でできており、生体内に近い環境を再現します。ばらばらの細胞を導入すると、細胞同士が立体的に結合し、サイズが揃った凝集塊(スフェロイド)が形成されます。これにより、再生医療や薬剤スクリーニング等の創薬研究に必要な高品質の細胞凝集塊を簡便にかつ多量に作製できます。

図1:培養容器の比較

そばじまクリニックは国内有数の再生医療機関で、2016年から幹細胞の2次元培養を用いた変形性膝関節症*1の治療を実施してきましたが、今回新たに、ミコセル®で培養した細胞凝集塊を患部に注射投与する治療*2の一般受付を開始しました。

図2 「ミコセル®」を用いた変形性膝関節症に対する治療の概要

今後も当社は、ミコセル®の普及を通じて再生医療の更なる発展に向けて貢献してまいります。

●3次元細胞培養容器「ミコセル®」の特徴
容器特性
生物由来成分不使用: 生物由来成分を含まない培養が可能
フラットで透明な底面: 顕微鏡での観察が容易
高密度キャビティ構造: 均一な細胞凝集塊を大量に作製可能
培養特性
適度に接着した細胞凝集塊: 培地交換時のロス低減、長期培養が可能
剥離剤不要の回収: 操作が容易で低毒性
細胞機能
高い生存率とタンパク質産生: 薬剤スクリーニングや再生医療に応用可能

*1:変形性膝関節症とは、膝の軟骨がすり減ったり、失ったりしたために膝の形が変形し、痛みや腫れをきたす疾患を指します。国内患者数は約1000万人、自覚症状はないがX線診断により症状が確認される潜在患者数は更に約3300万人いるといわれている病気で、主な原因は加齢によるものであり、高齢化の中、患者数は年々増加しています(厚生労働省老健局介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会 「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について報告書 平成20年7月1日」より)

*2:2017年に日本触媒とそばじまクリニックで共同研究を開始し、臨床研究は、2021年から被験者5名を対象として3次元細胞凝集塊の安全性を確認しました。また、2023年から実施した臨床研究では、被験者10名を対象として3次元細胞凝集塊の有効性を示唆する結果が得られています。

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