徹底解説! アンチブロッキング剤とは?
ブロッキングとは?
フィルム作製時にフィルム同士が張りつく現象のことです。

フィルムはロール状に巻き取られた状態で生産、保管されるため、フィルム同士が張りつくと加工時にシワができたり、ロールからフィルムを剥がすことができなくなったりするなどの問題が発生します。場合によっては、ブロッキングによりフィルムが破けるなどの生産トラブルが発生することもあります。フィルムの安定生産を行う上で、フィルムのブロッキング対策が求められます。
アンチブロッキング剤とは?
アンチブロッキング剤(AB剤)は、フィルム表面に凹凸を付与させることで、フィルム同士の接触面を減らしてブロッキングを防ぐ効果があります。

一般的には、シリカなどの無機粒子やアクリル粒子などの有機粒子が用いられます。
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アンチブロッキング剤の用途
光学フィルムや包装フィルムなど、様々なフィルムにアンチブロッキング剤は用いられています。
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アンチブロッキング剤に求められる特性
①フィルムからの脱落が少ない
フィルム作製時や加工時にアンチブロッキング剤が脱落すると、フィルム性能の低下や脱落したアンチブロッキング剤による汚れが発生します。脱落を少なくするためには、アンチブロッキング剤の粒子径の適切な選定などが有効です。
②フィルムに滑り性を付与
フィルム表面に凹凸を安定して形成することにより、フィルムの滑り性が向上します。

③フィルムの透明性を維持
アンチブロッキング剤を適切に選定することで、フィルムのヘーズや透過率を制御することができます。
アンチブロッキング剤の配合量が増えるとヘーズが上がりやすくなりますが、ベースフィルムと屈折率が同程度のアンチブロッキング剤を選択することで、ヘーズの上昇を防ぐことができます。
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④耐熱性
フィルム成型時の加熱条件に耐えうる耐熱性が必要です。
⑤フィルムを傷をつけない
アンチブロッキング剤が異形であれば、フィルムを傷つける可能性があります。フィルムを傷をつけないためには、真球状などの形状選定が必要です。
アンチブロッキング剤選定時の確認事項
①アンチブロッキング剤の組成
アンチブロッキング剤は、主に無機粒子と有機粒子に分かれます。フィルム構成や製造方法によって、無機粒子か有機粒子かを選定します。
②フィルム作製方法
フィルム作製方法が練り込みの場合には粉体を、コーティングの場合には水分散のアンチブロッキング剤を選定します。
③粒子径・粒度分布
フィルム構成(樹脂組成・厚み )に応じて、粒子径や粒度分布の選択が必要です。フィルムの厚みに対して小さすぎる粒子径のアンチブロッキング剤を添加しても、十分な凹凸を形成できません。
複数の粒子径や異なる粒度分布品をご評価頂くことで、最適なアンチブロッキング剤を選定することができます。

④屈折率
フィルムのヘーズ上昇を抑えたい場合には、フイルムのベース樹脂とアンチブロッキング剤の屈折率が同程度になるように、アンチブロッキング剤を選定します。