徹底解説!ポリアクリル酸とは? ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムの基本と選び方を紹介

ポリアクリル酸とは

ポリアクリル酸とはアクリル酸を重合して得られる水溶性ポリマーで、カルボキシ基を有するポリカルボン酸の一種です。日本触媒では、アクリル酸から一貫生産体制をとることで、1970年代よりポリアクリル酸の安定供給を行っています。

幅広い分子量のポリアクリル酸が開発されており、分子量によって異なる特性を持つことから多様な用途に利用されています。

ポリアクリル酸ナトリウムとは

ポリアクリル酸を水酸化ナトリウムで中和すると、カルボキシ基部分がナトリウム塩に変換されたポリアクリル酸ナトリウムになります。ポリアクリル酸ナトリウムは、ポリアクリル酸とは異なる性質を持っています。例えば、分子量の高いポリアクリル酸ナトリウムの水溶液は増粘剤としてよく使用されています。

ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムの違い

ポリアクリル酸は分子内にカルボキシ基を複数持ちますが、分子内に電子的な反発が起きない状態です。一方で中和タイプのポリアクリル酸ナトリウムは分子内に電子的な反発が起きるため、分子鎖が広がりやすい性質があります。

ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムの違い ※イメージ図

上記のように、分子鎖が広がる性質の影響で、ポリアクリル酸ナトリウムはより増粘効果を発揮します。

ポリアクリル酸/ポリアクリル酸ナトリウムの選び方

<用途別>分子量による選び方

ポリアクリル酸・ポリアクリル酸ナトリウムは、分子量によって異なった機能を示します。ここでは特に高い機能を発揮する分子量を示しますが、記載以外の分子量でも機能を発揮することがあります。

分子量:千~数万程度→分散剤

固体表面に吸着し、固体同士が静電的に反発する機能を活用することでスラリーを安定させたり、各種成分を安定分散させる分散剤などとして使用されます。

分子量:数千~十万程度→キレート剤

金属イオン(カルシウムイオンなど)を捕捉する機能を活用することで洗剤などのキレート剤として使用されます。低分子量のキレート剤よりも安全性に優れます。

分子量:十万~数百万程度→増粘剤

分子量が十万を超えるタイプでは、高い分子量に由来して増粘効果や糸ひき性を持ちます。ポリアクリル酸ナトリウムは、分子内の電子的な反発のため、より高い増粘効果を発揮します。濃度とpHを変えることにより、水溶液の粘度調整が可能です。

分子量:百万以上→凝集剤

分子量が高いタイプのポリアクリル酸(ナトリウム)は、ポリアクリル酸(ナトリウム)が粒子同士を橋渡しすることで、高い凝集効果を発揮します。排水処理や食品製造の不純物除去などに使用されます。

性状による選び方

性状として粉体タイプと水溶液タイプがあります。粉体タイプ・水溶液タイプのどちらもある場合には、使用方法に応じて溶解の手間を省きたい場合には水溶液タイプ、系に水を入れたくない場合には粉体のように選択することがあります。

pHによる選び方

ポリアクリル酸は、水溶液にした場合にはpHが~4と酸性を示す酸タイプとなります。ポリアクリル酸を中和したポリアクリル酸ナトリウムは中性~アルカリ性を示します。増粘剤として使用する際には、一般的にはpH10付近のアルカリ領域で最も高い増粘効果を示し、高い粘度となります。

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