温室効果ガス(GHG)排出削減の推進
GHG排出削減ロードマップの策定
日本触媒は、2021年4月公表の日本触媒グループ長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」に基づき、「3つの変革」の一つである「環境対応への変革」について、2050年に向けたGHG排出削減ロードマップを策定しています。 2025年4月に公表した中期経営計画の策定に合わせ、マテリアリティを見直しました。GHG排出量削減(Scope1+2)については、海外グループ会社を含む日本触媒グループ目標を新たに設定しています。 2030年までは、プロセスの改善を含む省エネルギーの推進やグリーンエネルギーの利用推進によりエネルギー使用によるGHG排出量の削減を進め、原料の一部バイオマス化や触媒の効率向上などによりエネルギー使用以外のGHG排出量の削減を進めます。 2030年から2050年までは、2030年までの対策を引き続き進めるとともに、新たなグリーン燃料(水素、アンモニア)の利用促進により、エネルギー使用によるGHG排出量の削減を図ります。同時に、原料のバイオマス化の拡大に加えて、リサイクル原料の利用、カーボンリサイクル技術の活用(CO2 回収・再利用)によりエネルギー使用以外のGHG排出量の削減を進めていく予定です。
2050年に向けたGHG排出削減ロードマップ
エネルギー使用量・CO2 排出量の削減
当社は、(一社)日本化学工業協会が定めた低炭素社会実行計画の目標設定に鑑み、社長が委員長を務めるRC推進委員会で中期RC基本計画を策定しています。この計画を基に各事業所では省エネ活動やCO2 排出削減を推進する委員会を中心に、気候変動を緩和する活動をしています。 2024年度実績は、省エネ活動を進め、エネルギー発生型製品の生産量が増加したことにより、エネルギー消費原単位は改善しました。また、カーボンオフセット都市ガス(旧カーボンニュートラル都市ガス)の継続利用とCO2 排出原単位の改善により、CO2 排出量は減少しました。2024年度の国内GHG排出量は701千トン-CO2 e※1 で2014年度比16.8%※1 削減となりました。 当社では、2021年度より姫路製造所で太陽光発電(オンサイトPPA)を行っています。また、廃熱の回収やコージェネレーションシステムの導入などにより省エネ活動を推進するとともに、プロセスで発生したCO2 の一部を回収して液化炭酸ガスとして販売することで、CO2 排出量の削減を行っています。
なお、GHG排出量およびエネルギー使用量の算定については、第三者の検証を受検しています(GHG第三者検証報告書 )。
※1 カーボンオフセット都市ガスの購入によるカーボンクレジット量58千トン-CO2 (対2014年度比6.9%分)のオフセット分を含みます。
GHG排出量の推移(国内)
※ GHG排出量の集計方法を一部見直しました。
社員の声 蒸留塔の改造による省エネルギー化
私が所属する部署では、N-ビニルピロリドン(NVP)を製造しています。NVPの製造プロセスにおいて、中間体のN-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン(HEP)を合成後、副生した水を蒸留塔で回収して前段の反応に再利用しますが、蒸留液には水以外の高沸点の不純物が多く含まれており、回収水の大部分を廃水として燃焼処理を行う必要がありました。このため燃焼処理に伴う燃料使用量の増加と、燃焼によるCO2 の排出が問題でした。
川崎製造所 第1製造課 松橋 拓真
廃水量を削減するには、蒸留液から不純物を減らさなければなりません。対策について調査を行ったところ、蒸留塔内の上部温度が想定される温度よりも高めに推移しており、適切な運転条件を維持できていないことに気が付きました。そこで、技術部と協力し、これまでの製造で蓄積したデータを元に蒸留塔内温度と蒸留液中の不純物量の関係についてコンピューターシミュレーションでの解析を行い、蒸留塔の不具合箇所を特定し、改善のための改造工事を実施するに至りました。 難しかったのはNVP生産の合間に蒸留塔の改造工事を行わなければならなかったことです。私は社内関連部署と連携し、工事計画の作成、生産計画の見直し、運転スケジュールの作成、および工事の立ち合いなど、全般にわたって担当しました。 改造後、不純物量が減った蒸留液は原料の水としてリサイクル使用されています。廃水の燃焼処理がなくなったことで、都市ガスの使用量が減少し、年間で67.9kL(原油換算)の省エネルギー化を達成しました。また、燃焼時に発生するCO2 の排出量も年間134トン削減できました。 今回の改善活動を通じて、設備の設計や運転状態を見直すことの重要性を再認識しました。今後もプラントの無事故無災害での運転、安定稼働を目指しつつ、無理や無駄、ロスを見逃さず、最適なプラントの運転を追求していきたいと思います。
フロン類の排出抑制
フロン類の製造から廃棄に至るライフサイクル全体を対象とした「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」は、2015年4月より全面施行され、さらに2020年4月より対象機器を廃棄する際の規制が強化されました。 当社は「第一種特定製品の管理者」にあたり、法で決められた簡易点検、定期点検を計画通り実行しています。また、2024年度のフロン類算定漏えい量は姫路製造所144トン-CO2 e、川崎製造所は2,684トン-CO2 eとなり、当社全体では2,931トン-CO2 eとなりました。今後、点検・整備の強化や、地球温暖化係数やオゾン層破壊係数の低い冷媒を使用した機器への置き換え、機器廃棄時の適切な処理を実行することなど、気候変動を緩和することにつながるフロン類漏えい量の削減に努めていきます。
2024年度フロン類の算定漏えい量
(トン-CO2 e) 姫路製造所 川崎製造所 その他 全体 144 2,684 102 2,931
サプライチェーン全体でのGHG排出量削減の推進
Scope3 排出量の算定
Scope3とは、サプライチェーンでの企業活動に伴うGHG排出量をカテゴリ別に計算し、合算したものであり、GHGプロトコルではGHG排出量を以下のScope1、2、3の3つに区分しています。
Scope1 直接排出量:事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 間接排出量:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 その他の間接排出量:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
当社は、今後もScope3排出量の算定を継続し、企業活動全体でのGHG排出量の削減の可能性についても検討していく予定です。
Scope3 排出量の推移(日本触媒単体)
(千トン-CO2 e) No. カテゴリ 排出量 2022年度 2023年度 2024年度 1 購入した製品・サービス 1,370 1,462 1,408 2 資本財 43 49 88 3 Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 89 97 95 4 輸送、配送(上流) 13 14 14 5 事業から出る廃棄物 5 5 4 6 出張 0.3 0.3 0.3 7 雇用者の通勤 0.9 0.9 0.9 12 販売した製品の廃棄 1,884 1,798 1,811 合 計 3,405 3,426 3,421
Scope3 排出量削減の取り組み
当社は、Scope3排出量削減に貢献するため、以下の項目についても強力に推進します。
環境貢献製品(利用段階などでCO2 排出削減に貢献する製品)の開発、普及拡大
CO2 回収・再利用技術(カーボンリサイクル技術)の開発、普及
マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルの開発、社会実装
インターナルカーボンプライシング(ICP)
低炭素・脱炭素経営を推進するため、2023年2月1日より、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入いたしました。 ICP制度を導入することで脱炭素に向けたグループの意識を高め、省エネルギー化の推進、CO2 排出量削減に関する事業機会・リスク検討を活発にし、長期ビジョンに掲げた3つの変革の一つである「環境対応への変革」を加速してまいります。
概要 社内炭素価格 10,000円/t-CO2 (国内外市場価格を参考にしたシャドウプライス) 運用方法 CO2 排出量の増減を社内炭素価格の適用により費用換算し、投資判断指標の一つとして運用 適用範囲 日本触媒グループ GHG Scope Scope1+2
もくじ
1.はじめに 2.ガバナンス ・サステナビリティ推進体制 ・取締役会の役割 ・サステナビリティ推進委員会の役割 ・分科会の役割 3.リスク管理 ・リスク管理の体制 4.戦略 ・分析用シナリオの定義 ・2つの分析用シナリオ ・リスクと機会 5.目標と指標 ・気候変動リスクへの対応 ・機会への対応
本文中の製品名は、以下の略称で記載しております。 AA:アクリル酸、EA:エタノールアミン、EG:エチレングリコール、EO:酸化エチレン、SAP:高吸水性樹脂
はじめに
⽇本触媒グループは気候変動に伴う社会システムの移行、自然環境の変化を経営上の重要な課題と認識し、2021年3月にTCFD提言への賛同を表明しました。これに伴い、2022年4⽉からTCFD提言にもとづく情報の開示を開始し、継続的な対応検討を進めるとともに、その内容を報告しています。 当社グループは、気候変動対応として温室効果ガス(GHG)排出の削減を最優先事項と考えています。そのため、パリ協定を支持し、産業革命前の水準に対して地球の平均気温上昇を1.5℃に抑えるという目標に沿った取り組みを進めています。
開示対象:当社グループの事業とGHG排出・削減に関する概要
<マテリアルズ事業>
世界中で多くの人々の生活を支える製品を販売し、当社グループの売上収益の70%以上を占めています。原燃料や各種エネルギーの安定調達が不可欠であり、当社グループのGHG排出量の大部分を占めるため、グループ各拠点での排出削減に取り組んでいます。
<ソリューションズ事業>
多くの製品が、GHG削減を含む環境課題へのソリューションとして期待されています。中期経営計画2027 (p.16)では、『ソリューションズ事業の利益拡大戦略』の一環として、気候変動対応に関わる技術革新が求められる成長分野での事業展開を推進しています。
ガバナンス
サステナビリティ推進体制
当社グループは、気候変動対応を含むサステナビリティ活動を推進するため、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しています。
取締役会の役割
業務執行に関する重要事項を報告、審議、決議し、取締役の業務執行を監督します。 また、取締役会はグループの重大リスクを特定し、対応方針や対応措置、管理責任者を決定するとともに、その管理状況の監督も担います。
サステナビリティ推進委員会の役割
当社グループのサステナビリティ活動推進に関する方針・戦略の決定
各部門に対する計画・施策策定の指示、その実績評価
サステナビリティ推進に関するその他重要事項などの検討
取り組みに関するステークホルダーへの発信
分科会の役割
気候変動対応を含むサステナビリティ推進に関する重要事項について、部署横断での検討や施策立案が必要になる場合には、分科会を設置して対応しています。
リスク管理
リスク管理の体制
当社グループは、グループを取り巻く内外のさまざまなリスクを『グループ重大リスク』と『部門リスク』に区分したうえで、それぞれのリスクに適したリスク管理体制を構築することで、企業価値の維持・向上に取り組んでいます。
気候変動対応や人権対応などについては重要な課題と認識し、サステナビリティ推進委員会を中心に検討頻度を高めることで、効率的かつ統合的なリスク対応を進めています。
戦略
当社グループは、2025年に見直したマテリアリティ(重要課題) の中で「社会課題解決への貢献」と「環境対応の推進」を掲げ、気候変動への対応を進めています。
社会課題解決への貢献
環境負荷の低減に貢献する製品の開発・販売を促進し、事業活動と社会課題の解決を両立します。
環境対応の推進
2050年度までにScope1・2排出量のネットゼロを目指し、GHG削減を進めます。さらに、サプライチェーン全体での対応として、製品カーボンフットプリントの低減や資源循環に取り組みます。
進行する地球温暖化に備え、水リスクの評価を強化するとともに、水資源の有効利用を促進し、安定した事業運営を確保します。
分析用シナリオの定義
取り組みの策定に先立ち、気候変動の影響について2つの異なる分析用シナリオ(1.5~2℃、4℃~)を策定しています。 これらの分析用シナリオを用いて、気候変動が当社の事業に与える影響を把握し、リスクを軽減し、機会を活用するための対策を特定しています。経営層関与のもと部門横断的なチームとともに、両分析用シナリオに対して当社の事業戦略の実現に関連する機会とリスクを抽出しています。 分析用シナリオの策定は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書 および IEA_World Energy Outlook 2024 を参考に行っています。
□パリ協定目標の達成(1.5~2℃) 今世紀末までに地球の平均気温上昇を2℃未満、さらなる努力により1.5℃未満に抑えるという目標のもと、各国では技術革新とそれを支える金融手段が積極的に講じられると想定しています。本シナリオ分析では、時間軸を短期、中期、長期の3つの段階に分けて検討しています。時間軸の前提は以下の通りです。
短期: ~2027年 日本触媒グループの中期経営計画期間を想定 中期: ~2030年 日本触媒グループのGHG削減中間目標を想定 長期: ~2050年 日本触媒グループのネットゼロ目標を想定
□なりゆきの経済活動(4℃~ ) 2023年度の各国対応の延長で到達する気温上昇を想定しています。2100年の想定温度上昇はClimate Action Tracker(2024年11月) を参考に4℃~としています。
STEP 1 STEP 2 STEP 3 STEP 4 外部環境変化の抽出 サプライヤー、同業他社、顧客の開示内容(A)、ESG評価項目を参考に、外部環境変化要素を列挙分析用シナリオの作成 TCFDの推奨に基づきIEA、IPCCほかのシナリオを参照した上、当社のリスク・機会分析に使用する独自シナリオ(B)を作成 (A)の内容も考慮事業インパクトの評価 サステナビリティ推進委員会、関連分科会および中期経営計画の議論を反映し、(B)をもとに事業インパクトを検証 →経営層による審議リスクと機会の特定と取り組み サステナビリティ推進委員会からの指示および経営計画・リスク管理に沿った取り組みを推進
2つの分析用シナリオ
分析用シナリオ 1 : パリ協定目標の達成(1.5~2℃ ) IEA NZE2050や、IPCC SSP1-1.9を参照した上で作成したシナリオ
1.5~2℃ 政治・自然環境・社会・技術 ステークホルダーへの影響 (バリューチェーン)日本触媒グループのリスクと機会 ■自然環境 ●異常気象・自然災害の増加(中長期) ●風水災害の頻度が上昇 ●生態系が変化し、生物の数%は絶滅に直面 ●低標高の沿岸部を中心に居住可能域が減少 ■サプライヤー ●原材料・エネルギー価格の上昇 ●調達安定性の低下 ●CSR調達ほか非財務情報充実化 リスク ①炭素税や排出量取引制度(ETS)によるGHG排出のコスト化 ②政策強化に伴う調達コストの増加 ③GHG関連規制・非財務情報開示への対応遅れ ④市場・顧客要請変化による事業影響■社会 ●脱消費・環境志向の高まり ●製品回収・再利用ビジネスの一般化 ●先進国の高齢化、途上国の人口増加 ■顧客(B to B)・市場 ●製品カーボンフットプリントの改善・情報提供要請 ●再生可能エネルギー、原料、資材利用の要請 ●CSR調達などのアセスメントへの協力要請 ●再生可能エネルギー関連市場の拡大 ●脱炭素を含む環境負荷低減技術への投資拡大 ■技術 ●環境対応技術の拡大、デジタル技術活用の進展 ●再生可能エネルギー、省エネルギー技術の進展 ●デジタル技術によるイノベーション加速 機会 ①再生可能エネルギー関連技術の普及 ②環境負荷低減技術への投資拡大 ③的確な非財務情報開示による企業信頼性向上 ④デジタル技術の活用による生産技術改善・ソリューション提案■政策 ●国際協調のもと、温暖化対策が進展 ●カーボンプライシングの普及 ●循環経済(再生材料使用)の拡大 ●非財務情報開示の義務化拡大 ●環境規制の厳格化 ■株主・投資家 ●インデックスなどでのESG投資商品の普及 ●非財務情報開示の要請
分析用シナリオ 2 : なりゆきの経済活動(4℃~ ) IEA STEPSや、IPCC SSP5-8.5を参照した上で作成したシナリオ
4℃~ 政治・自然環境・社会・技術 ステークホルダーへの影響 (バリューチェーン)日本触媒グループのリスクと機会 ■自然環境 ●異常気象・自然災害の激甚化(中長期) ●熱帯域を中心とした生物の絶滅数が激増 ●沿岸部を中心とした居住可能域の減少 ●局地的な水不足の深刻化 ■サプライヤー ●化石燃料・原料の需要と価格の維持 ●水不足による水コストの増加 ●災害激甚化による設備被害 リスク ①GHG関連規制・非財務情報開示への対応遅れ (限定的) ②脱炭素関連技術への投資回収が困難化 ③災害激甚化による設備被害・調達不安定化 ④地域により水調達難が発生■社会 ●脱消費・環境志向は限定的 ●石化依存商品の消費が続く ●先進国の高齢化、途上国の人口増加 ■顧客(B to B)・市場 ●一部顧客からの非財務情報開示要請 ●脱炭素関連市場の成長鈍化 ■ 技術 ●デジタル技術活用の進展 ●デジタル技術によるイノベーション加速■株主・投資家 ●先進国中心の非財務情報開示の要請 機会 ⑤的確な非財務情報開示による企業信頼性向上 ⑥造水技術ニーズのさらなる高まり ⑦デジタル技術活用による生産技術改善■政策 ●カーボンプライシングは地域が限定され、価格差などが国際貿易上の課題となる ●環境規制は地域差のある対応
リスクと機会
リ スク(移行リスク・物理リスク)の影響度と対策
特定したリスクに対し、算定前提、影響度、顕在化期間、および対策を検討しました。
種類 分野 項目 算定前提 影響度 期間 対策 移行 1.5~2℃ 政策 カーボンプライシングによるGHG排出のコスト化 ・炭素税、ETSなどの拡大による自社排出量のコスト化により製品原価が上昇(中期;排出枠調整で影響軽微と想定 長期;現在のScope1+2の全てがコスト化すると想定)※1 中期的には低 長期的には高 中期~ ・GHG排出削減ロードマップに即した省エネ、プロセス・触媒改善、再生可能エネルギー導入の推進 ・長期的にはエネルギー転換やCCUSの可能性を検討 ・ISCC PLUSによるバイオマス利用提案 ・カーボンフットプリントの適格な算定、要求に沿った提供 市場 市場・顧客要請変化による事業影響 ・再生可能エネルギー、原料、資材の利用要請が高まり、製造原価が増加※2 中期的には低 長期的には中 政策 政策強化に伴う調達コストの増加 ・炭素税やETSの始動に伴う原燃料、エネルギーコストの増加※3 中期的には低 長期的には中 中期~ ・省エネの推進、合理的な再生可能エネルギー導入とクレジットの使用 政策 GHG関連規制・非財務情報開示への対応遅れ ・関連規制、情報開示への対応遅れによる事業活動の停止や、事業活動の逸失※4 中 中期 ・市場動向の継続的な分析と、タイムリーな投資・撤退判断 移行 4℃~ 市場 脱炭素関連技術への投資回収が困難化 ・中期経営計画2027 で定めた成長事業領域(脱炭素関連技術を含む)の投資額の回収が困難化※5 中~高 中長~ ・市場動向の継続的な分析と、タイムリーな投資・撤退判断 物理 4℃~ 自然環境 災害激甚化による設備被害・調達不安定化 ・洪水や高潮などに伴う各拠点の事業活動停止、不能 ・1か月の活動停止から拠点機能の損失を想定※6 中~高 長期 ・サプライチェーンにおける水害リスクの評価の継続 自然環境 地域により水調達難が発生 ・干ばつなどにより一定期間河川からの水使用が困難化※4 中 長期
【影響度】 低: 10億円~、 中: 50億円~ 高:100億円~ 【期間】 短期; 該当する中期経営計画期間(~3年)、中期; 該当する長期ビジョン期間(~10年)、長期; ~2050年と定義
長期_ 2024年度 連結排出量(Scope1+2)1000千トンの全てに炭素価格10,000円/トン-CO2 がかかると想定し、100億円を算定。
長期_ 2024年度 連結での購入エネルギー排出量(Scope2)260千トンが電力由来と仮定し、炭素価格10,000円/トン-CO2 を掛けた場合、影響額は約25億円。
原価情報の開示は重要情報のため控えますが、当社の2024年度売上高2440億円と経常利益177億円から影響額は中程度の見込み。
例えば、2024年度ニッポンショクバイ・ヨーロッパ N.V.の売上収益は 540億円(第113期有価証券報告書 (p.8))。1か月の事業停止を受けた場合、影響額は約50億円。
期中の関連投資額は900億円、投資額の一部が回収できなくなると仮定。
※4の1か月の事業停止から、復旧不能な設備被害までを想定。
機 会の影響度と対策
特定した機会に対し、算定前提、影響度、顕在化期間、およびアクションを検討しました。
機会 分野 項目 算定前提 影響度 期間 対策 移行 1.5~2℃ 政策 再生可能エネルギー関連技術の普及 ・中期経営計画2027内の電池、水素に関わる営業利益 + 持分法投資損益数値(利益指標)を使用※1 利益指標 中~高 短中期 ・電池領域 (短期)電池:中国市場の旺盛な需要増に対応 (中期)地産地消の戦略に沿った生産体制構築 (国内は新設備建設、中国は機能増強、北米は検討継続) ・水素サプライチェーンを支える技術の展開 市場 環境負荷低減技術への投資拡大 (事業) ・中期経営計画2027内の水処理、二酸化炭素吸収に関わる利益指標を使用※2 利益指標 低~中 短中期 (短期)底堅い水関連市場への拡販に注力 (中期)環境負荷低減ニーズの高まりに沿った関連製品の市場展開 市場 環境負荷低減技術への投資拡大 (研究開発投資) (実証・展開を通じ検証) ― 中期~ ・環境貢献製品の普及拡大 ・バイオマスAA、SAP、SAPリサイクルなどの展開 政策 的確な非財務情報開示による企業信頼性向上 ・ESG、環境評価による投融資機会※3 中 短中期 ・CDPほか、代表的なESG評価の改善 ・将来の非財務情報開示義務化に向けた対応体制を構築 技術 デジタル技術の活用によるソリューション提案 (実証・展開を通じ検証) ― 短中期 ・製造所やR&Dでのデジタル技術活用で、生産性向上や製品上市を加速 移行 4℃~ 環境 造水技術ニーズのさらなる高まり (実証・展開を通じ検証) ― 中期~ ・高水リスク地域での造水ニーズに対応(DS剤※4 を使用した正浸透造水システムの社会実装など)
中期経営計画2027 (p.14)エネルギーと水素に関する営業利益+持分法投資損益は『その他』領域内に包含されます。個別セグメントの数値情報は重要情報のため、開示を控えます。記載の数値は2030年度、2027年度の数値と2024年度の数値の差分(~2027年度73億円、2030年度168億円)として記載しています。
※1と同じ内容を水処理、二酸化炭素吸収を含む『スペシャリティ』領域の数値(~2027年度19億円、2030年度69億円)として記載しています。
イオネルの補助金、DBJ(日本政策投資銀行)での融資(40億円)、国家戦略との一致による助成金(120億円)などが、実績として挙げられる。
浸透圧発生剤
目標と指標
気候変動リスクへの対応
当社は、2021年4月公表の日本触媒グループ長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」に基づき、3つの変革の一つである「環境対応への変革」について、2050年に向けたGHG排出削減ロードマップを策定しています。
2050年に向けたGHG排出削減ロードマップ
事業活動に伴うGHG排出削減の推進
2025年度より、国内グループ会社を含む目標から、海外グループ会社までを含む目標へと見直し、グループ全体でのGHG削減取り組みを推進しています。 将来のありたい姿を 『2050年度までにScope1,2のネットゼロを達成』とし、2030年度にGHG排出量 Scope1+2を対基準年度、対グループ総計※ で30%削減 することを目標としています。
※単体および国内グループ会社:▲30%(対2014年度比) 海外グループ会社:各社基準年度および目標
Scope1の削減に向け
当社および海外で生産を行うグループ会社のScope1は、燃料の燃焼(コジェネレーション・ボイラ等を含む)からの排出と化学反応からの排出に大別されます。
取り組み① 燃料の燃焼からの排出への対応
当社グループは、コジェネレーション・ボイラ等の燃料のほぼすべてを天然ガスへ転換済みであり、従来の石炭や重油よりもGHG排出量を大きく減らしています。今後は、様々な企業、団体との協力を通じ、カーボンニュートラル燃料として期待されている水素・アンモニア・eメタン等の導入、CO2 回収・利用・貯留(CCUS)を継続的に検討していきます。
取り組み② 化学反応からの排出への対応
化学反応からの排出の多くは、触媒酸化反応に伴うものです。そこで、自社の強みである触媒技術を駆使し、その反応効率を向上することで化学反応からの排出量削減を継続的に行っていきます。
Scope2の削減に向け
Scope2の削減に向け、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの導入を進めています。
当社グループは、全ての製造拠点で省エネルギー活動を継続的に実施しています。 一方で、再生可能エネルギーの導入状況は、各地域・拠点の状況により異なります。 北米およびインドネシアでは、再生可能電力の購入により、購入電力の再生可能エネルギー化率がほぼ100%に達しています。国内および欧州拠点でも、今後さらに再生可能エネルギー化を進める予定です。グループ全体での購入電力の再生可能エネルギー化率は、2024年度末時点で約23%です。 今後もエネルギーポートフォリオを検討しながら、グループ全体で段階的な対応を進めていきます。
<当社の排出量情報の信頼性確保> 当社では、排出量データの信頼性および正確性を確保するため、毎年、第三者による検証を受けた情報を公開しています。2024年度GHG排出量 第三者検証報告書
サプライチェーン全体でのGHG排出削減の推進
Scope3の削減に向け
化学工業製品は、生産時に地球の資源を利用し、CO2 や廃棄物を排出することで環境に影響を与えています。気候変動の課題を解決するためには、自社製品の製造段階だけでなく、使用や廃棄を含むサプライチェーン全体 でGHG排出量を削減し、環境負荷を低減することが重要です。
取り組み① バイオマス原料の活用
当社グループは、バイオマス原料活用の段階的拡大を想定し、バイオマス原料などを石化原料と組み合わせて使用するマスバランス方式による製造・販売体制をグローバルに構築しています。現在、日本、ベルギー、インドネシアおよび米国のグループ会社でISCC PLUS認証を取得しており、これにより低環境負荷製品の供給範囲を一層拡大しています。あわせて、2030年までの実用化を目指し、主力製品であるアクリル酸のバイオマス由来製造プロセスの開発も進めています。 これらの取り組みを通じて、顧客企業のScope3排出量削減に貢献していきます。
ISCC PLUS認証取得状況
取り組み② 環境貢献製品の開発、普及拡大
当社グループの製品が、サプライチェーンを通じて社会インフラや身近な製品に利用されることで、GHG削減を含む環境負荷低減にどのように貢献しているかを評価・審査し、環境貢献製品として認定しています。環境貢献製品の売上収益を当社グループのマテリアリティ指標とし、環境負荷低減の取り組みを推進しています。
※認定は、社内審査会でチェック項目や数値データをもとに実施。第三者レビューを事前に行い、意見やアドバイスを反映しています。
(億円) 2021年度 実績 2022年度 実績 2023年度 実績 2024年度 実績 2030年度 目標 環境貢献製品売上収益 (グループ会社を含む) 390 440 450 470 1,350
取り組み③ サプライチェーンでの削減貢献量の試算
当社では、環境貢献製品の中でサプライチェーンでのCO2 排出削減に貢献すると考えられる製品について、削減貢献量の試算を行っています。2024年度については、削減貢献量試算値が1,070千トン-CO2 /年となりました。
取り組み④ 製品カーボンフットプリント(CFP)の算定と情報提供
サプライチェーン全体でのGHG排出量を削減するためには、製品単位のGHG排出量を正確に算定し、共有することが重要です。当社では、国内外のCFP算定規格やガイドラインを参照して、適正な算定システムを構築し、要望を頂いたお客様に対してCFP算定値を提供しています。 今後も、算定規格やガイドラインの改定を的確に対応するとともに、当社のGHG排出削減の取り組みを算定に反映してCFPを低減し、サプライチェーン全体でのScope3削減に貢献していきます。
ありたい姿 サプライチェーンにおけるGHG排出量低減の取り組みに貢献している状態 取り組み CFPの精度向上 ステークホルダーとのCFP情報共有 KPI、あるべき姿 算定精度の改善継続、各製品のGHG排出低減活動の継続(2027年度)
電力需給バランスの安定化に寄与する「デマンドレスポンス」への参画
再生可能エネルギーの導入拡大により電力需給調整の重要性が高まる中、当社姫路製造所は2021年度から「デマンドレスポンス」に参画しています。電力需給がひっ迫する局面においては、要請に基づき発電余力を活用して系統電力からの受電量を抑制することで、電力需給バランスの安定化に寄与しています。
資源循環への貢献
資源の循環は、重要な資源の枯渇を防ぎ、特定資源への依存を軽減すると同時に、温暖化対策の一環という観点からも、非常に重要な取り組みです。
日本触媒グループは環境保全方針の中で、次のように定めています。
廃棄物や化学物質の排出量を削減するとともに、水資源を含む資源の循環および有効活用を推進し、循環型社会の実現に貢献します。
環境負荷低減に貢献する製品や技術の開発、提供を積極的に行います。
この方針に基づき、当社では計画的な資源循環と廃棄物削減を推進しています。
資源循環への貢献
取り組み 廃棄物の削減とリサイクルの促進
生産活動においては、資源循環への貢献として『産業廃棄物の発生が抑制され、資源・エネルギーとして有効に活用されている状態』を目指します。具体的には、以下の目標に向け、活動を進めています。
ありたい姿 産業廃棄物の発生が抑制され、資源・エネルギーとして有効に活用されている状態 取り組み 廃棄物の削減 リサイクルの促進 KPI、あるべき姿 外部最終埋立処分量:ゼロエミッション(1) を維持(単体・2027年度) 廃プラスチック排出量:▲50%(対2021年度比)(単体・2030年度)
(1)(外部最終埋立処分量)≦(廃棄物発生量×0.1%)
水リスクの評価
化学製品を製造する当社グループにとって、水は不可欠な資源です。その持続可能な確保は、事業継続および中長期的な企業価値の向上に直結する重要な経営課題です。
水リスクの評価
取り組み 水リスクの評価
気候変動に対する適応という観点からは、温暖化に伴う異常気象として特に高潮、洪水のほか、干ばつといった水に関するリスクが挙げられます。 当社は、水の調達リスクに着目し、生産拠点が水リスクの高い地域に所在する可能性について、世界資源研究所(WRI)が提供する「Aqueduct Water Risk Atlas」を用いて評価しています。また、水資源の保全と有効利用に向け、『水資源の確保と事業活動における水利用の調和が維持されている状態』の実現を目指し、水資源利用に関するリスク評価と効率的な利用の促進を継続して進めてまいります。
ありたい姿 水資源の確保と事業活動における水利用の調和が維持されている状態 取り組み 水資源利用に係るリスク評価と有効活用の促進 KPI、あるべき姿 水リスク(ストレス)のモニタリングの継続、および評価結果に基づく対応 (2027年度)
機会への対応
機会への対応
取り組み① 再生可能エネルギー関連技術の普及
短中期的には電気自動車の普及、長期的には化石燃料からのエネルギー転換として水素エネルギーの活用などが世界各地で推進されています。 当社グループは、こうした市場拡大・転換にスピーディーに対応し、積極的な投資を行っていきます。
取り組み② 環境負荷低減技術への投資拡大(水処理、二酸化炭素吸収など)
気候変動に伴う水不足や水質汚染は、国や地域を問わず、世界全体が直面する重要な課題です。さらに、気候変動の主因である二酸化炭素(CO2 )を吸収・除去する技術は、今後急速な市場拡大が見込まれています。当社グループは、これらの市場拡大・転換にスピーディーに対応し、積極的な投資を行っていきます。
取り組み③ デジタル技術の活用による生産技術改善・ソリューション提案
当社川崎製造所では、浮島工場に導入した高度制御システムの千鳥工場への展開と、生産量に応じた製造装置の運転パターン最適化を行いました。これにより2024年度は約3,200kL(原油換算)の省エネルギー化を達成し、CO2 排出量も約7,500トン削減することができました。また、生産性が向上し、変動費を削減することができました。 今後も高度制御システムの適用範囲の拡大を図り、さらなる省エネルギー化を進めます。
取り組み④ 適切な規制対応と非財務情報開示の推進
株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に、当社グループの中長期的な価値創造への取り組みを分かりやすくお伝えするために、マテリアリティ、価値創造プロセス、事業戦略、ガバナンス、財務情報を掲載した統合報告書を発行しています。
ESGに関する当社グループの関連データは、毎年ESGデータ集を発行しています。
当社は、適切な情報開示を通じて主要な指標(インデックス)への組み込みを維持し、さらに拡大を目指しています。また、評価結果を改善活動に反映しています。
インターナルカーボンプライシング(ICP)
脱炭素に向けたグループの意識を高め、省エネルギー化の推進、CO2 排出量削減に関する事業機会・リスク検討を活発にしていくことを目的にICP制度を導入しています。
概要 社内炭素価格 10,000 円/t-CO2 (国内外市場価格を参考にしたシャドウプライス) 運用方法 CO2 排出量の増減を社内炭素価格の適用により費用換算し、投資判断指標の一つとして運用 適用範囲 日本触媒グループ GHG Scope Scope1+2
2026年4月 2025年に作成した中期経営計画およびマテリアリティを踏まえて全面改訂
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