気候変動への対応

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温室効果ガス(GHG)排出削減の推進

GHG排出削減ロードマップの策定

日本触媒は、2021年4月公表の日本触媒グループ長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」に基づき、「3つの変革」のひとつである「環境対応への変革」について、2050年に向けたGHG排出削減ロードマップを策定しています。
長期ビジョンの最終年となる2030年GHG排出量削減目標について、まずは当社グループ全体のGHG排出量の約7割を占める国内のGHG排出量削減目標を2014年度比30%以上削減と設定しています。
当社では、2022年度からカーボンニュートラル都市ガス(CN都市ガス)の購入を開始しました。このオフセット分を含めて、2022年度の国内GHG排出量は72万トン-CO₂e※1で2014年度比14%※1削減となりました。現在、海外拠点のGHG排出量削減目標についても検討を進めています。

なお、GHG排出量およびエネルギー使用量の算定については、第三者の検証を受審しています(GHG第三者検証報告書)。

2050年に向けたGHG排出削減ロードマップ

GHG排出量の推移(国内)

※ GHG排出量の集計方法を一部見直しました。
※1 CN都市ガスの購入によるカーボンクレジット量61千トン-CO₂(対2014年度比7.3%分)のオフセットを含みます。

社員の声廃水量低減によりCO₂排出量を削減

姫路製造所
吸水性樹脂製造部
斎藤 誠

高吸水性樹脂(SAP)は、アクリル酸(AA)などの原料を重合させたものを粉砕、乾燥して製造していますが、乾燥時に発生する廃ガスには重合しなかったAAが微量に含まれるため、廃ガス洗浄塔にて循環水と接触させて除去し、AAを吸収させた廃水は所内の処理設備で燃焼しています。
姫路製造所では、SAP製造設備のうち、生産効率が低い旧型設備を順次停止し、生産効率が高い設備への転換を進めています。旧型設備の停止に伴って廃ガス量は減りますが、廃水量は単純に廃ガス量に比例して削減できるものではありません。
廃ガス洗浄塔で発生する廃水量を削減するために、洗浄塔から抜き出す廃水量を減らすと、AAを含んだ廃水濃度が高く、滞留時間が長くなることからゲルが生成しやすくなります。その結果、廃水が正常に処理できなくなってしまいます。
そのため、私は洗浄塔のAA濃度や滞留時間について詳細なデータを取得し、洗浄塔の運転条件の最適化の検討を行いました。その結果、廃ガス洗浄塔の廃水量を削減できる運転条件を確立しました。これにより、CO₂排出量を年間約120トン削減できました。

エネルギー使用量・CO2排出量の削減

日本触媒は日化協が定めた低炭素社会実行計画の目標設定に鑑み、社長が委員長を務めるRC推進委員会で中期RC基本計画を策定しています。この計画を基に各事業所では省エネ活動やCO₂排出削減を推進する委員会を中心に、気候変動を緩和する活動をしています。
2022年度実績は、省エネ活動を進めましたが、エネルギー発生型製品の生産量が減少したためエネルギー消費原単位は悪化しました。また、生産量の減少によりCO₂排出原単位は悪化しましたが、CN都市ガスの利用もありCO₂排出量は減少しました。
当社では、2021年度より姫路製造所で太陽光発電(オンサイトPPA)を行っています。また、廃熱の回収やコージェネレーションシステムの導入などにより省エネ活動を推進するとともに、プロセスで発生したCO₂の一部を回収して液化炭酸ガスとして販売することで、CO₂排出量の削減を行っています。

エネルギー使用量・消費原単位の推移

※日本触媒のエネルギー使用量には、本社・研究所・工場管理棟・厚生施設を含みません。
※ 2022年度の日本触媒本社・研究所・工場管理棟・厚生施設のエネルギー使用量は8千kLでした。

CO2排出量・原単位の推移

※CO₂排出量は、エネルギー起源CO₂排出量と非エネルギー起源CO₂排出量を合計したものです。
※集計方法を見直しました。
※日本触媒のCO2排出量には、本社・研究所・工場管理棟・厚生施設を含みません。
※2022年度の日本触媒本社・研究所・工場管理棟・厚生施設のCO₂排出量は11千トン-CO₂(CN 都市ガスのオフセット量を含む)でした。
※1 CN都市ガスのオフセット量を含みます。

社員の声幅広い運転条件において熱回収を実現

川崎製造所 第1製造課
成瀬 広大

川崎製造所では、コジェネレーション(熱電併給)設備を導入しており、そこで発生した熱を酸化エチレン(EO)プラントで発生させた蒸気の加熱などに有効利用することで、製造所全体のエネルギーを高効率で運用しています。しかし、EOプラントの運転条件によっては、発生した熱を利用できないこともありました。
そこで私は、幅広い運転条件において熱を有効利用できるようにする設備改造を提案しました。この改造は、EOプラントの根幹に関わることから、技術部やエンジニアリング部の協力を得ながら、リスク管理を含めて検討しました。ミスや試行錯誤が許されない中、蒸気温度の安定化や改造費用低減などで苦労しましたが、無事に設備改造することができました。この改造により、2022年度は約3,000kL(原油換算)の省エネルギーを達成しました。
今後も安全・安定運転を維持しながら、DXなども活用して省エネ活動に取り組んでいきます。

フロン類の排出抑制

フロン類の製造から廃棄に至るライフサイクル全体を対象とした「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」は、2015年4月より全面施行され、さらに2020年4月より対象機器を廃棄する際の規制が強化されました。
当社は「第一種特定製品の管理者」にあたり、法で決められた簡易点検、定期点検を計画通り実行しています。また、2022年度のフロン類算定漏えい量は姫路製造所112トン-CO2e、川崎製造所は5,135トン-CO2eとなり、当社全体では5,255トン-CO2eとなりました。今後、点検・整備の強化や、地球温暖化係数やオゾン層破壊係数の低い冷媒を使用した機器への置き換え、機器廃棄時の適切な処理を実行することなど、気候変動を緩和することにつながるフロン類漏えい量の削減に努めていきます。

2022年度フロン類の算定漏えい量

(トン-CO2e)

姫路製造所川崎製造所その他全体
1125,13585,255

サプライチェーン全体でのGHG排出量削減の推進

Scope3 排出量の算定

Scope3とは、サプライチェーンでの企業活動に伴うGHG排出量をカテゴリ別に計算し、合算したものであり、GHGプロトコルではGHG排出量を以下のScope1、2、3の3つに区分しています。

  • Scope1
    直接排出量:事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
  • Scope2
    間接排出量:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出
  • Scope3
    その他の間接排出量:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

日本触媒は、今後もScope3排出量の算定を継続し、企業活動全体でのCO₂排出量の削減の可能性についても検討していく予定です。

Scope3 排出量の推移(日本触媒単体) 

(千トン-CO2e)

No.カテゴリ排出量
2020年度2021年度2022年度
1購入した製品・サービス1,4451,5221,370
2資本財554443
3Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動858389
4輸送、配送(上流)141513
5事業から出る廃棄物785
6出張0.30.30.3
7雇用者の通勤0.90.90.9
12販売した製品の廃棄1,9612,1111,884
合計3,5673,7833,405
※一部集計範囲を見直しました。

Scope3 排出量削減の取り組み

当社は、Scope3排出量削減に貢献するため、以下の項目についても強力に推進します。

  • 環境貢献製品(利用段階などでCO2排出削減に貢献する製品)の開発、普及拡大
  • CO2回収・再利用技術(カーボンリサイクル技術)の開発、普及
  • マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルの開発、社会実装

インターナルカーボンプライシング(ICP)

低炭素・脱炭素経営を推進するため、2023年2月1日より、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入いたしました。
ICP制度を導入することで脱炭素に向けたグループの意識を高め、省エネルギー化の推進、CO2排出量削減に関する事業機会・リスク検討を活発にし、長期ビジョンに掲げた3つの変革の一つである「環境対応への変革」を加速してまいります。

概要
社内炭素価格10,000 円/t-CO2
(国内外市場価格を参考にしたシャドウプライス)
運用方法 CO2排出量の増減を社内炭素価格の適用により費用換算し、投資判断指標の一つとして運用
適用範囲日本触媒グループ
GHG Scope Scope 1 & 2

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