製品を通じた環境保全

環境貢献製品

化学工業製品は、生産時に地球上の資源を利用し、CO2や廃棄物を排出することで環境に影響を与えています。しかし、原料調達から最終製品の廃棄までのライフサイクル全体でみると、この化学工業製品があることにより環境負荷の低減に貢献している場合があります。
日本触媒グループの製品が、サプライチェーンを通じて使用され、私たちの身の回りの製品やそのような製品を生み出すための設備、あるいは社会インフラなどに利用されることで、環境負荷低減にどのように貢献しているかを評価しています。
当社は、社内認定審査会にてチェック項目、数値データなどをもとに審査し、環境貢献製品として認定を行っています。2022年度からは、社内認定審査会の前に第三者レビューを実施して、ご意見やアドバイスを審査資料に反映させています。2023年度は、新たに4件の認定を行いました。

( )内は用途

イオネル®(リチウムイオン電池材料)
エポミン®(水処理剤)
アクアロック®(コンクリート混和剤)
VEEA®(UV硬化型反応性希釈剤)
固体酸化物形燃料電池用電解質シート
排ガス処理用触媒

環境貢献製品一覧

地球温暖化防止・省エネルギー

貢献理由製品ライフ
ステージ
用途認定製品
温室効果ガス削減製造魚類養殖飼料粘結剤アクアリック®H(飼料用)
コンクリート混和剤アクアロック®
合成繊維用多機能親水性処理剤PET-4G(再生PET使用品)
(中日合成)
使用リチウムイオン電池材料イオネル®
固体電池材料ICPDAP®・ICPSEB®
CO2吸収剤アミノアルコール
(吸収剤用)(日本乳化剤)
海水淡水化用FO(正浸透)システム部材浸透圧発生剤
廃棄塗料、粘・接着剤原料、反応性希釈剤イソボルニルアクリレート
塗料、粘・接着剤原料アクリル酸エチル
粘・接着剤、合成樹脂2-オクチルアクリレート
既存製品と同様ISCC PLUS認証製品
省エネルギー製造UV硬化型反応性希釈剤VEEA®
使用固体酸化物形燃料電池材料固体酸化物形燃料電池用電解質シート
自動車用制振材アクリセット®(制振材用)
光学材料、電子材料ジルコスター®
※当社グループ会社の製品

化学物質排出量削減・大気保全

貢献理由製品ライフ
ステージ
用途認定製品
化学物質排出量削減使用水系塗料ユーダブル®・
アクリセット®(水系塗料用)
水系塗料向け乳化重合用乳化剤ニューコール®(乳化重合用)
(日本乳化剤)
反応型界面活性剤(乳化重合用)
(中日合成)
水系接着剤エポクロス®
UV硬化型塗料AOMA®
大気汚染防止使用排ガスのHC(ハイドロカーボン)、NOx、ダイオキシン類などの除去自動車触媒
排ガス処理用触媒
脱硝触媒・装置
ダイオキシン類
分解触媒・装置
※当社グループ会社の製品

水資源保全・水質保全・生物多様性保全

貢献理由製品ライフ
ステージ
用途認定製品
水質汚濁防止使用排水中の有害物質の酸化・分解触媒湿式酸化排水処理用触媒
水処理剤エポミン®
高分子凝集剤アミノアルコール(凝集剤用)
(日本乳化剤)
廃棄洗剤ビルダーアクアリック®L(洗剤用)
生分解性廃棄洗剤原料ソフタノール®
HIDS®
洗剤・塗料向け溶剤ブチルジグリコール
(日本乳化剤)
電子材料用・工業用洗浄剤向け溶剤メチルプロピレングリコール
(日本乳化剤)
※当社グループ会社の製品

資源使用量削減

貢献理由製品ライフ
ステージ
用途認定製品
資源使用量削減使用中空糸膜ポリビニルピロリドン

廃棄物削減

貢献理由製品ライフ
ステージ
用途認定製品
廃棄物削減廃棄コンクリート混和剤アクアガード®

製品ライフサイクル全体でのCO2排出削減の推進

日本触媒グループの環境貢献製品の中で、特にCO2排出削減に貢献しているものをcLCAの手法を使い評価しています。
cLCAとは、ある特定の化学製品を使用した完成品と、その化学製品の比較製品を使用した完成品における両者のライフサイクルでのCO2排出量を比べ、そのCO2排出量差分をある特定の化学製品がなかった場合に増加する排出量と考え、CO2排出削減貢献量として算出する評価手法です。

CO2排出削減に貢献が期待される製品

アクアガード®

405万トン※1※2

  • 1年間に建設される共同住宅を全て長寿命住宅にした場合のCO2排出削減貢献量

コンクリートのひび割れを抑制するアクアガード®を開発しました。アクアガード®と高性能AE減水剤を併用することにより、コンクリート建造物の寿命が大幅に延びることが期待されます。

※1 評価の前提条件
供用期間:長寿命共同住宅は100年、通常の共同住宅は50年で評価しました。共同住宅の製造・使用・廃棄に伴うCO2排出量は、日本建築学会「建物のLCA指針」に基づいて評価しました。
※2 評価に使用する予測値を近年の状況を踏まえて見直しました。

アクリセット®
(制振材用)

31万トン※3

  • 1年間に生産される自動車に全て塗布型制振材を採用した場合のCO2排出削減貢献量

自動車のボディ下部に塗布してエンジンや路面の振動、騒音を抑える塗布型制振材用エマルションを開発しました。塗布型制振材を使用することで自動車が軽量化され、燃料使用の節約が期待されます。

※3 評価の前提条件
年間走行距離は1万kmとし10年間使用するものとして評価しました。アスファルトシートを制振材として用いた自動車を比較評価しました。

ジルコスター®

22万トン※4

  • 1年間に生産されるスマートフォンに全てジルコスター®を採用した場合のCO2排出削減貢献量

高い光学特性を持つ本製品をプラスチックレンズやディスプレイなどの光学材料に使用することで、携帯電話やスマートフォンといった携帯端末ディスプレイの省電力化に貢献し、バッテリーの長時間駆動を可能にします。

※4 評価の前提条件
カーボンフットプリント製品カテゴリールールに記載の使用時間に従い2年間使用するものとして評価しました。ジルコスター®を用いた光学材料を使用したスマートフォンで節電効果は3.6%の電力削減とし評価しました。

VEEA®

33万トン※5

  • 1年間に生産される全てのUV硬化型インクにより削減が期待されるCO2排出削減貢献量

VEEA®を環境配慮型インクのUV硬化型反応性希釈剤として使用することにより揮発性溶剤が不要となり、そのための関連設備が不要で、省エネルギー、生産性向上につながります。

※5 評価の前提条件
印刷物は4色刷りのA全判サイズを前提とし、インク量は1m²あたり3.2gとしました。市販オフセット印刷機と市販UV印刷機を比較することで評価しました。

アクアリック® H(飼料用)

8万トン※6

  • 1年間に生産される全ての魚類養殖飼料をモイストペレット(MP)にした場合のCO2削減貢献量

アクアリック®Hが粘結剤として使用されているMPは、原料調達や乾燥工程で多くのエネルギーを必要とする魚粉の配合量がドライペレットよりも少ないため、魚類養殖におけるCO2の削減につながります。

※6 評価の前提条件
1年間に日本国内で生産される全ての養殖業における飼料を対象としました。比較対象は粘結剤を使用しない魚粉配合比率の高いドライペレットとしました。

イオネル®・
ICPDAP®・
ICPSEB®・
固体酸化物形
燃料電池用
電解質シート

合計
596万トン※7

  • ①1年間に供給される再生可能エネルギー由来の電力の使用に際して、蓄電池を調整電源として活用した場合のCO2排出削減貢献量(電気自動車などの用途は含まない)
  • ②燃料電池によるCO2排出削減貢献量

イオネル®やICPDAP®・ICPSEB®は蓄電池に使用されています。再生可能エネルギーの主な供給源として出力変動の大きい太陽光発電や風力発電を増強するための調整電源として、蓄電池の活用が期待されています。また、固体酸化物形燃料電池は高効率で電力や温水が得られることから、CO2削減に貢献します。

※7 評価の前提条件
蓄電池によるCO2削減量は、電力需給バランスが最も経済性が高くなるように電力の変動と調整電源を想定しました。
燃料電池によるCO2削減量は、水素の供給量が見通せないため、都市ガスを改質して発電する家庭用燃料電池をベースに評価しました。
比較対象は、火力発電としました。

アミノアルコール
(日本乳化剤〔株〕)※8

550万トン※9

  • 1年間に国内の火力発電所から排出されるCO2を化学吸収法で回収し貯留した場合のCO2排出削減貢献量

再生可能エネルギーの活用が進む中、電力安定供給のため火力発電所の操業は継続されています。このような発電所の排ガスからCO2を化学吸収法で捕捉する際に使用できるアミノアルコールは、CO2排出削減に貢献できます。

※8 当社グループ会社の製品
※9 評価の前提条件
CO₂を分離回収する際の吸収液としてアミノアルコールを用い、主として分離回収に必要なエネルギーを評価しました。比較対象は、分離回収を行わない場合としました。

(注)上記の各前提条件はあくまで期待値であって、実際の寿命や性能を保証するものではありません。

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