ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティ&インクルージョン
日本触媒は、グループ共通の価値観の一つとして「多様性を尊重します」を定め、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進を持続的成長のために必要不可欠なものと捉えています。変化が激しく、将来の予測が難しい時代においては、多様なバックグラウンドを持った人財が集まり、さまざまな視点で発言し、アイデアを共有することで、イノベーションの創出につながることが必要であり、D&I推進は重要な経営戦略のひとつです。
また、日本触媒グループ行動規範に掲げる性別、年齢、国籍、人種、民族、社会的身分、出身、思想、信条、宗教、身体的特徴、性的指向、性自認、疾病および障害の有無などによる差別の禁止を念頭に、多様化する従業員のキャリアや働き方に対する価値観の変化に対応すべく、各種D&I推進施策に取り組んでいます。
D&I推進方針
従業員の多様性を尊重し、一人ひとりの多様な能力・個性・価値観を認め合い集結し、日本触媒グループの総合力を高めるため、D&I推進方針を策定しました。誰もが自分らしく活躍できる組織を目指して、様々な施策に取り組んでいきます。
<D&I推進方針>
- 多様性を互いに尊重し、認め合い、ともに活躍・成長することができる職場環境・風土づくりを進める。
- 従業員一人ひとりが、プロフェッショナルとして、個性・能力を最大限発揮し、その力の融合により新たな価値を創造する。
- 仕事と生活が充実し、両立することで、個々人がやる気・能力を向上させ、高い成果を創出する。
D&I推進体制
日本触媒のD&I推進は、2019年に5人の女性基幹職(管理職)をメンバーとする「女性活躍プロジェクト」の社長答申からスタートしました。その後D&Iの広がりにともない、2021年には人事部にD&I推進グループを新設し、多様な人財が活躍できる環境・制度等の整備、風土づくりの取り組みを進めています。
長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」においては、女性採用比率、女性管理職比率や男性の育児休暇取得率目標を設定し、経営会議においてその進捗や施策について確認・審議しており、経営層がD&I推進にコミットメントしています。
推進体制の遍歴
2019年
2021年
女性活躍プロジェクト発足
女性活躍推進施策の充実化に向けて、当社の課題・方策を提言
人事部にD&I推進グループを設置
多様な人財が活躍できる環境・制度等の整備、風土づくりを進める
D&Iについてのトップメッセージ
当社では、D&Iは、単に性別、年齢、国籍、⼈種などの属性に多様性があるというだけではなく、様々な能力、個性や価値観を持つ従業員が、その多様性を互いに尊重し、認め合うことで、個々の能力を最大限発揮し、その力の融合により新たな価値を創造することだと考えています。
変化が激しく、将来の予測が難しい現代においては、変化に柔軟に対応し、お客様視点で課題を把握し、多様化する課題の解決につながる製品を提供し続けなければなりません。そのため、イノベーションの源泉となるD&Iの推進は当社の長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」を達成する鍵だと考えています。

2022年4月には新人事制度を導入し、これまでの学歴や年功基準での運用ではなく、個々人の能力や業績を適正に評価し、昇格・昇級へつなげるよう変更しました。
また、従来からあったフレックスタイム制や在宅勤務制度に加え、勤務地継続制度も導入し、個々人の状況に応じた柔軟な働き方が可能な環境も整備しています。
当社の現状においては、女性活躍推進はD&Iの第一歩であり、女性採用比率、女性管理職比率、および男性の育児休暇取得の向上がD&I推進の状況を測る指標だと考えています。
当社が将来に渡って、従業員とともに成長・発展し、社会に新たな価値を提供し続けるために、より一層D&I推進に取り組んで参ります。
取締役常務執行役員
事務部門管掌
高木 邦明
多様な人財の活躍推進
D&I推進ロードマップ(~2030年度)
D&I推進にあたり、4つの重点課題(①D&Iマインドの醸成 ②従業員のさらなる活躍推進 ③仕事と生活の両立支援 ④制度の多様化)を設定の上、2030年度までのロードマップを策定しました。2021年4月に設置された人事部D&I推進グループが中心となり、各種施策の計画と実行を行っています。
女性活躍推進
事務系・化学系や製造所配属の女性社員を積極的に採用するなど、職種にとらわれず、様々な事業活動への女性の積極的な登用に向け取り組んできました。同時に、制度面の整備を進めるなど女性が働き続けられる企業風土の醸成に注力しています。
現在は意思決定層の女性を増やすことが最も大きな課題となっています。そのために女性社員のパイプラインを充足させる必要があり、候補者となる女性管理職を増やすためにも、全社の女性社員比率を上げる必要があります。そこで当社は女性活躍推進に関する指標として、女性管理職比率と女性採用比率を掲げ、取り組みを進めています。
女性管理職比率の向上
女性管理職比率を2024年度末までに6%に引き上げるという目標を掲げて、取り組みを進めています。
目標達成のためには、管理職を中心にマネジメントやコミュニケーションにおけるD&Iに対する正しい理解促進をさらに深め、男性と比較すると低い傾向にある女性の課長職への登用率や登用スピードを適切にしていくことが必要だと考えています。
そうした考えのもと、役員やライン長職を対象としたD&Iマネジメント研修や管理職に対する動画研修を実施し、正しい理解の浸透を進めています。

女性採用比率の向上
事務系・化学系採用における女性採用比率は2024年度30%以上という目標を掲げています。事務系・化学系新入社員の3割以上を女性にし、その比率を保持した人材パイプラインの構築を目指していきます。この目標に向け、採用活動において、女性にとって働きやすい環境であることや、活躍中の女性社員を積極的に紹介するなどしています。
次世代法および女性活躍推進法に対する取り組み
「次世代育成支援対策推進法」(次世代法)および「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)に基づき、2021年4月1日~2025年3月31日までの目標および行動計画を設定しました。

外国籍従業員の活躍推進
海外事業のより一層の拡大を見込む中、当社では海外グループ会社に加えて日本国内においても、外国籍者の雇用を引き続き行っていきます。
障がい者従業員の活躍推進
当社では、各事業所で障がいのある従業員がさまざまな職種で活躍しています。
さらに、障がい者雇用促進の観点から設立した特例子会社「有限会社エヌ・エス・グリーン」は製造所の緑地管理を担うとともに、ノジギクのポット苗を毎年生育。2023年度は218団体に無料配布し県の都市緑化事業にも協力しています。
定年再雇用者の活躍推進
定年後も65歳まで高い就労意欲を持って就労できるようジョブ型の再雇用制度を導入しており、現在100名以上の経験豊かな定年再雇用者が中核技術の伝承や若手人財の育成に貢献しています。
会社は、人生100年時代を見据え、セカンドキャリア研修や社外での就労経験(越境就労)プログラムなどを実施し、従業員一人ひとりが自分の人生のプロフェッショナルになれるよう支援しています。
LGBTQへの対応
日本触媒グループ行動規範には、性的指向や性自認による差別を行わないことを謳っています。
・専用窓口の設置
LGBTQに関するお困りごと、ハラスメントやカミングアウトを受けた際の相談を目的としたLGBT相談窓
口を設置しています。
・同性パートナーへの福利厚生適用
2024年4月より、従業員が同性パートナーを会社に届け出た場合、一部の休暇、休業ならびに福利厚生制
度について同性パートナーを配偶者と同様の取り扱いとなるように適用開始しました。制度を利用しやす
い風土づくりのため、当事者の方が働きやすい環境の整備や施策の検討を進めています。
適用する社内制度:結婚・忌引・介護・看護休暇、育児・介護休業、社宅制度、福利厚生俱楽部
D&Iに関する研修・講演会
D&Iマネジメント研修
D&I推進は、特定の部門だけが主導して進んでいくものではなく、各部門や現場サイドの理解、協力がなければ進みません。本研修は、まずは役員、ライン長職を対象として、D&Iマインドの醸成、変革を促すために実施しています。
プログラム | 内容 |
---|---|
経営戦略としてのD&I推進 | D&I推進は企業の成長戦略、当社のD&I推進方針、D&Iの試金石としての女性活躍推進 |
多様化する従業員の育成マネジメント | 多様なメンバーのポテンシャルをいかに引き出すか、アンコンシャスバイアスにどう向き合うか |
多様な人財の活躍を企業の力にするために | 「働き方」が変わる~コロナ禍の変化、先進企業の好事例を踏まえて~ |
コンプライアンスに関する職場内研修(D&I推進について)
コンプライアンスに関する職場内研修の一環で、全従業員を対象に「D&I推進について」の研修を実施しました。日本触媒グループ行動規範に「人権の尊重」や「多様な人財の活躍推進」を謳っており、多様性を受け入れる組織風土醸成を目的に、D&Iの理解を深めています。
動画教材を視聴したうえで、自職場での業務・行動を振り返り、実践できている部分・できていない部分を確認し、前向きな対応や解決の方向性を各職場で話し合いました。
新入社員研修(D&I推進について)
新入社員に向けたD&I研修では、D&Iとは何かということから、当社が取り組む意義、そして一人ひとりが取り組むことで風土が醸成されることを伝え、意識の醸成を行います。
プログラム | 内容 |
---|---|
D&Iとは、推進の背景 | なぜ組織にD&Iが必要なのか、経営戦略とD&Iに欠ける組織のリスク |
D&Iの第一歩 | 実践してほしい具体的な行動、アンコンシャス・バイアス、心理的安全性 |
日本触媒の取り組み | 当社のD&I推進方針、これまでの取り組み、現状 |
女性社員ネットワーク研修
より自分らしく、やりがい・働きがいを持ちながら働けるよう個々人にあった能力開発やキャリア形成を考えるとともに、女性社員同士のネットワークを構築することを目的に、2021年度より女性社員ネットワーク研修を実施しています。本研修はワークや対話を多く盛り込んでおり、言葉にして伝えることで自分のことを改めて理解できたり、他者からの学びがたくさんあります。また、上司を巻き込んで実施することで、上司とのコミュニケーション活性化にもつながっています。
第1回 | イントロダクション 講義「私らしく働くために~より会社を元気に、人生を豊かに~」 |
---|---|
第2回 | キャリア研修(キャリアデザイン編) 自分らしい職業人生を歩むために主体的に自らを方向づける |
第3回 | キャリア研修(セルフリーダーシップ編) 職場や仕事の問題解決に、周りを巻き込むリーダーシップの要素を学ぶ |
第4回 | 社内外ロールモデルとの交流会 |
第5回 | 受講者による行動宣言 |
セカンドキャリア研修
自身の価値観やスキルを再認識し、今後起こり得る環境変化と掛け合わせて今後のキャリアを描くことを目的に、満52才の社員を対象にセカンドキャリア研修を実施しています。シニア従業員が活き活きと働くためには、自律的なキャリア選択をする事が重要です。キャリアの棚卸と強みや価値観の言語化を行い、自己理解を深めます。そして、キャリアの選択肢を考え、これからのキャリアをデザインしています。
プログラム | 内容 |
---|---|
これからの働き方とお金を考える | 何歳までどのような働き方をしていきたいのか、お金の観点も入れながら考えます |
自己理解 | これからのキャリアで生かすことができる「自分の強み・持ち味、価値観」を明らかにする |
キャリアの選択肢を考える | これからのキャリアの選択肢を2つの異なる観点で考え、自分の可能性を広げます |
これからのキャリアをデザインする | 60歳以降のありたい姿を言葉にし、これから何ができるのか、していきたいのかを考えます |
異文化コミュニケーション研修
異文化の相手と協働する際に必要となる知識と共通言語を獲得することを目的に、異文化コミュニケーション研修を実施しています。国内・海外問わず、異文化の相手とコミュニケーションを取る機会が多い方を対象に、毎年約20名が受講しています。文化やコミュニケーションスタイル、仕事の進め方、問題解決法等の違いを理解し、ペア・ワークやディスカッションを通じて、異文化の中でどうふるまうべきかを考え、学んでいます。
プログラム | 内容 |
---|---|
異文化を受け入れるマインドセット | 相手の文化・価値観・常識の違いを頭ごなしに否定・無視するのではなく、 それを受け入れ、自己の仕事に活かすためのマインドセットを学びます |
異文化を捉える4つの協働スタイル | さまざまな違いを4つの協働スタイルで捉え、 相互に歩み寄るための課題を見つけられるようにします |
異文化の相手に歩み寄る コミュニケーションスキル | 自己と違う相手に歩み寄るためのコミュニケーションスキルを学びます |